「これはちょっとした傑作かも」恋は光 luna33さんの映画レビュー(感想・評価)
これはちょっとした傑作かも
公開時から評判が良くて気になっていた作品だったのだが結局観れずに終わってしまい、改めて今回のタイミングになった。
評判の高さはやはり本物だった。青春ラブストーリーものとしては正直ありきたりで「王道」以外の何物でもなく、特に目新しい感じはしないのにとにかく面白い。「恋してる人が光って見える」という設定が絶妙な味付けとなって全体的な流れを作って行ったのも心地良く感じられた。原作は未読なのだが世界観はおそらく近いものがあると思われ、文学的な匂いがするのも非常に楽しめた要因だろう。主人公たちが「恋の定義」などを真剣に話す様子が何とも微笑ましかった。限りなく感覚的な事を論理的に語るって実にバカバカしくて実に楽しいんだよね。いい歳こいて自分もその輪につい入りたくなってしまう。
そして何より登場人物たちがまた魅力的過ぎる。神尾君のカタブツぶりも絶妙だったし、西野七瀬ちゃんと平祐奈ちゃんのそれぞれの可愛さったらもう信じられないほどだ。もし僕が20歳だったら、どちらを選ぶかで1週間くらいは死ぬほど悩んでしまうだろうな。そして最後の東雲さんから流れる「一筋の涙」の美しさ。若いって素晴らしい。これこそが青春映画だよなと同調すると共に、自分はもうただのオジサンなんだと唇を噛み締める。つまり何かにつけてノスタルジーを感じる世代に自分もなったという事なんだろう。ちなみに舞台となった岡山のなんと美しい事。昔ながらの風景と暮らし。これだけでもすっかり魅せられてしまったのだが、もしかしたらこれもノスタルジーなんだろうか?
馬場ふみかちゃんの存在感も良かった。主人公でもない彼女が冒頭でいきなり飲み物をぶっ掛けられてしまう理不尽なシーンから映画が始まる、というアイデアも実に面白いと思う。あと最後に流れる曲もまさにズバリでセンス良いなあと思わずにはいられなかった。「恋は光」というちょっと含みを持たせたタイトルも心にどことなく引っ掛かるものがあり、これも文学的な素晴らしいセンスだなと感心する。
僕にとって印象深い青春映画の1つとしてこの作品が加わったのは間違いない。