「SHE&HIMの歌声に象徴される絶妙な上品さ。」恋は光 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
SHE&HIMの歌声に象徴される絶妙な上品さ。
現実から遊離したようなセリフ回しや、地に足がついていない主人公たちの青臭さを、抑制された演出と絶妙なバランス感覚で現実と繋ぎとめているように感じた。特に最初と最後に流れるSHE&HIMの楽曲のアレンジとズーイー・デシャネルの歌声が、この映画の得難い上品さのシンボルになっており、まるで作り手のささやかな決意表明のように響いてくる。
役者では、やはり西野七瀬が絶品だった。平祐奈だって馬場ふみかだって上手いし役にもハマっているのだが、西野七瀬には、フィクションとノンフィクションの境界線上を漂っているようなところがあって、どれだけ周到に準備しても出せないような、奇妙な実在感があると思う。ともすれば理想化されそうなキャラクターや世界観を、西野七瀬が放つゆらぎのようなものが救っているようにも感じた。
しかし西条くんよ、3人の魅力的な女性にモテるのは仕方ないが、不器用とはいえちょっと甘え過ぎではないですかね。しっかりしてくれ若者よ、とオッサン的には思わずにおれませんでした。
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