「恋は学習と本能で醸成される?」恋は光 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
恋は学習と本能で醸成される?
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どんな作品なのか興味津々で観ました。西条が理屈っぽいということで、構えて観ていましたが、逆に分かりやすかったです。設定は大学のキャンパス、あるいは個人宅でストーリーは進んでいきます。西条は幼なじみの北代(西野)と友達のような関係を続けていますが、東雲(平)に一目惚れしたところから、話はどんどん進みます。西条の特技は、恋をしている人は光って見えるというものでした。本当は一番好きなのは北代だったのに、彼女が光って見えないから、恋心を持っていなかったと想像していましたから、二人の仲は深まりません。それでも東雲の存在が、彼の中に本当の恋のようなものを想起させたことによって、北代とハッピーエンドになります。個人的には東雲の方に、私は軍配をあげたかったのですが、北代に決めたということは、ある意味この作品のテーマである、恋は光ではなく、好きな人は光らなくても、光そのものなのだと示唆したかったのだと私は思います。光らなくても触れたい、会いたいという気持ちが一番の恋なのでしょう。この作品の白眉は、雨宿りしていたのに、天気になったので木陰から離れようとする時、「このままでいて」と東雲が西条に言うシーン。文字通りキュンキュンしました。いずれにしても、恋をテーマに深掘りして、観る人に恋の美しさをあらためて提示している秀作と言えるでしょう。
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