「原作を愛しているほど辛いが、全体的には、やっぱり面白い」恋は光 げっとさんの映画レビュー(感想・評価)
原作を愛しているほど辛いが、全体的には、やっぱり面白い
(東方不敗)恋愛マスターと囃される秋★枝さんが原作の漫画の実写化映画。
全体的には面白くまとまってて、実写版で稀に見る原作軽視な感じはありませんでした。東雲嬢の余裕の無さと、宿木嬢の扱いの悪さを除けば、キャラの再現度は全体に高めに感じます。特に北代。西条に合わせたコミカルな言い回しはあまりなかったものの、きちんと北代が乗り移ってて、北代の言葉で原作にはなかっただろう言い回しをしていて素直に驚きました。
ただ、原作愛が強ければ強いほど見ていて辛い部分もあります。尺の都合で宿木嬢の人柄や狡賢さが活かせてなかったですし、北代の究極の事なかれ主義、故の口の堅さも守られてなかったですし(原作では、仄めかすけど「気になるならセンセに直接聞きなよ」で一貫してました)。
東雲嬢が光るタイミングと宿木嬢がハニートラップを仕掛けるタイミングが原作と逆なせいで、東雲嬢が光ったタイミングで西条が怯む事がなかったです。流れとしては自然だったので悪くないのですが、それがきっかけで光の正体と自分の感情について更に疑念が深まるところなので、やっぱり、ちゃんと東雲嬢の光に恐れ慄いて欲しかった。
北代と宿木嬢がバチバチしすぎてて、ここも見てて辛かったです(原作では北代が究極に事なかれ主義なので、宿木嬢を牽制しつつも、二人の間を取り持つ役になってます)。尺の都合で宿木嬢に割ける時間が無かった以上、仕方のない気もしますが…
東雲嬢について、全体に緊張していて、原作でみられる純朴でロマンチストできらきらと夢見がちにも見える表情があまり見られなかったのが寂しかったり。でも感受性の強い変わった子にちゃんとなっていたので、悪くないです。10点。
西条も西条で、あの口調と表情のままに、実にコミカルな話しぶりをするのですが(焼豚卵丼研究会、略してやきーぶとか、曝書がボンッ!ってなりそうとか、我視可視恋愛光線とか)、それが活きていなかったのがちょっぴり寂しかったり。あと、東雲さん、と呼んでいたのもBADです(東雲嬢、が正しいし、なんなら北代も東雲嬢がいないとこでそう呼んだことがある)。ただ、原作とは違う角度で人柄の掘り下げがされたように思うので、そこは二重丸◎です。10点。
央を登場させたのは意外…というか、央抜きには成立しない話ではあるのですが、尺の都合で登場しないことをとても危惧していたのです。それは無かったのでとても安心しましたし、その割にかなり思い切って端折っていて、要点だけきちんと抜き出せていたので良かったです。10点。
繰り返すようですが、全体には面白かったと思います。ただただ私が原作が好きすぎて、「そこは違うじゃん!!」って一人で勝手に辛くなってるのです。しかし、こういう解釈のすれ違いがちらほら見られるので、原作ファンの方はある程度覚悟したほうが良いのかもしれません。