「恋とは何か…?意外な普遍性と女性同士の連帯も面白い」恋は光 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
恋とは何か…?意外な普遍性と女性同士の連帯も面白い
面白くて深い。無骨なんだけど芯が固くて飽きが来ない。恋をしていることに確かな喜びを感じられる良作。
『殺さない彼と死なない彼女』が好きだったので、最速試写で観れて良かった。前作が丸いとしたら、こちらはカクカクシカジカ。哲学のような輪廻をクルクルと回りながらも、実は普遍的に起きていることなのかもしれないと思ったり。概念として話は進んでいても、そこに愛らしさが滲み、会話劇としての魅力が引き立っている。
また、画角も非常に面白い。物語が奥でも動いており、個々のキャラクターが常に息を宿している。これって意外と難しい気がするし、そこがまたなんか可愛らしい。また、恋の話ではあるが、人と関わりあうから絡まるのであって、難しさが次第に剥がれていく。高いところの議論ではなく、"良くある"部分の延長線なのだ。
加えて、女性同士の連帯も面白い。別に嫌いでもないけど、嫌な部分を露骨に出すわけでもない。同じ人を巡っているのに、嫌悪感が臭わない。そのバランスを上手く取りつつ、現代的な空気を出していく。監督自身もそのバランス感覚が長けているのだと感じる。
主演は神尾楓珠さん。文字を起こしたような語り口で、イケメンを封印しているが、実際そうなのではないかと感じるくらいハマっている。まどろっこしい雰囲気が、普段からそうなのではないかと感じる。
女優陣も見逃せない。西野七瀬さんは監督曰く「普通の中に華を持った人」をキャスティングしたという様に、面倒な西条の良き理解者であり、その中で心が揺れる感じが何とも良い。平祐奈さんは、随分と大人になった印象。文学女子と可憐さが説得力となり、恋の定義に奔走する姿がハマっている。馬場ふみかさんもクールなんだけど少し自分に迷いがある感じがたまらない。
そしてもう一人、伊東蒼さんは圧巻。今回は探さないし轢かれないから安心して観れる(笑)。しかしながら、作品のパートをきっちり自身の色に染めるのは流石の一言。また違った雰囲気が魅力的だ。
自分もようやく恋が走り出した。それもあってか、自分にしては純粋に観れた気がする。また、愛らしいキャラクター像はもう一度味わいたいところ。公開は6月。リピしてみたい。