「テレビドラマ未見でも十分に楽しめる医療系の映画。「日常的に関わりのある医療」の世界における内部と実情をエンターテイメントとして体感できる良作!」劇場版ラジエーションハウス 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
テレビドラマ未見でも十分に楽しめる医療系の映画。「日常的に関わりのある医療」の世界における内部と実情をエンターテイメントとして体感できる良作!
原作マンガのあるテレビドラマの映画化ですが、劇場版の方は「完全オリジナル」となっています。
本作が他の医療系の作品と違うのは、X線撮影などを駆使し病変を写す「診療放射線技師」と、その画像診断や放射線治療をしたりする「放射線科医」の活躍をクローズアップし描く斬新で現実的な設定でした。これらのスキルは医療器材技術の進化などに伴い、ますます重要度が上がっています。
本作はメインキャストだけでも窪田正孝、本田翼、広瀬アリス、山口紗弥加、遠藤憲一、八嶋智人、浜野謙太などと多いのですが、さすがは「HERO」の鈴木雅之監督だけあって、群像劇が非常に上手く、それぞれの見せ場などがしっかりと用意されていて、しかも劇場版からでもすぐに入り込めるように作られているのは流石でした。
唯一知っておきたいのは、窪田正孝が演じる主人公の五十嵐唯織(いがらし・いおり)は、医師免許を取得していて、天才的な読影技術とセンスを持っています。
本田翼が演じるヒロインで「放射線科医」の甘春杏(あまかす・あん)と唯織は幼馴染で、唯織は幼少期における杏との約束を大切にして「診療放射線技師」として働いています。ちなみに、杏は唯織と幼馴染であることを覚えていません。
このような経緯もあって、唯織は仕事以外では「杏ちゃん」と呼んでいます。
本作は広瀬アリスが演じる新人「診療放射線技師」の広瀬裕乃(ひろせ・ひろの)の医療従事者としての成長や、唯織への想いなども描かれています。
この3人に加えて、山口紗弥加、遠藤憲一、八嶋智人、浜野謙太などもなかなか面白いキャラクターでユーモアセンスなども光っていました。
「映画としてのダイナミックさ」に相応しく舞台は様々な場所に移りますが、「一連の流れ」はかなり上手く構築されていて、スケール感も含め「映画」として非常に良く出来ていました。
こういう志をもつ医療従事者の存在がこれからの日本では重要になります。
大ヒット作「HERO」「コード・ブルー」にも共通する「チーム感」「恋愛模様」「成長」もキチンと描かれていることに加え、予備知識が無くても医療の面白さや重要性も体感できる良質な作品です。