「正義を題材にした普遍的な物語」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース fairlightさんの映画レビュー(感想・評価)
正義を題材にした普遍的な物語
2作目にあたるので前作を観ていないと楽しめない。
スパイダーマンといえば身近な人間の犠牲を経験し、成長する事を宿命とされた悲しきスーパーヒーロー。
主人公のマイルスは、スパイダーマンとしての存在がマルチバースを介してできた通常のスパイダーマンとは異なる存在。
異常分子であると明かされる。
彼がスパイダーマンにならなければ、マイルスの世界のピーターは生き続けていたと。
存在自体を否定されるのである。
そのような中、彼の父が近い将来死ぬ事を知る。
これは、スパイダーマンの世界では定められた事象でこの事象を回避するとその世界が崩壊する事になる。
ミゲル達はそれは定められた事であり、受け入れなければならないと、マルチバースのスパイダーマン総出でマイルスを止めようとする。
多くの人の安全のため、一人の犠牲を強いるのである。
それは皆が通る道だからと。
これはまさに、トロッコ問題の話である。
制御不能なトロッコが5人の作業員のいる方向へ向かっている。
しかし、その手前には分岐点があり、分岐した先には作業員が1人。
あなたは、分岐点を操作し1人を犠牲にし5人を助けるのか?
話が重過ぎる。
印象的なセリフがあった。
"We are supposed to be the good guys"
「私たち ヒーローのはずでしょ。」
マイルスを止められなかったと元の世界に送り返されるグウェンのセリフである。
グウェンにとって、今回のスパイダーマン達の行動はヒーローのする事ではないという結論に至ったのだ。
「大いなる力には大いなる責任が伴う」
マルチバースを救うか、一人の人間を救うか。
どちらがヒーローとして正しいか。
もしくは、新しい答えを見つけ出す事がヒーローなのか。
存在を否定されたマイルスはどうするのか。
スパイダーマン史上最高の映画。