「全然ダメです」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース なだ万茶さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0全然ダメです

2023年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

寝られる

前作のスパイダーバースはピーター・パーカーとは別のスパイダーマンが活躍するということでマルチバース(パラレルワールドのような概念)を導入してストーリーの芯を形作ることに成功した。それは新しいスパイダーマンとしてそれなりに成功したように感じたが今回の駄作で全然ダメになってしまった。

主人公マイルスは彼の世界でのスパイダーマンとして活躍する。彼は普段は学生なので両親に自分がスパイダーマンであることを隠しつつ、街に突如として現れるヴィランと戦う生活している。大事な場面に姿を現さないことから両親からはよからぬことをしていると疑惑を持たれ、外出禁止などの圧力をかけられながらも本当のことを両親に言えず、苦しい思いをして生活をしている。そのような中、かつて共に戦ったスパイダーグウェンと再会し、マルチバースを行き来できるヴィランが現れ戦いが始まっていくという流れである。

スパイダーマンがヴィランを倒すというシンプルなヒーロー映画にしておけばよかったのに、戦いよりもキャラクターの人間描写に重きを置いて作ったせいか、よくわからない作品となってしまっている。マイルスやマイルスの父親の苦悩を必要以上にダラダラと長く描写し、終わったと思ったらグウェンの描写を出し、気が付いたら戦闘が始まっているような感じである。またその戦闘シーンもあまり迫力がなく、主人公側も敵側も軽口をたたきながら戦っている。海外映画にはよくあることだが、主人公と敵が冗談を言いながら戦うシーンはしつこすぎると戦いに映えがなくなってしまう。もちろんスパイダーマンは軽口をたたきながら戦うヒーローであるため、それが魅力的な部分もあるが、それにしてもしつこすぎる。街を守るヒーローなんだからふざけるのは最初の戦闘だけにとどめておけと思った。この作品ではすべての戦闘シーンがそんなふざけた感じだったので迫力は全然ない。迫力を出すために映像はがんばったんだろうなと感じたが、2次元と3次元を融合させて作られているだけ。今どきの映画ではこの程度の技術ははっきり言ってめずらしくない。むしろチカチカしすぎて不快になる鑑賞者もいらっしゃるのではないだろうか。キャラクターの描写、中途半端な戦闘シーン、そして映画終盤にてさらに新しい描写が出てきていよいよなんの映画かわからなくなってしまった。終盤の展開をここで記載することはしないが、総じてよくわからない映画となってしまっている。
表現したいテーマをいくつもいくつも入れるのではなく、一つにしぼり、その一つを深く表現してほしかった。

あまりおすすめはしない映画であるが、スパイダーマンというよりも主人公マイルスが好きな人は見に行ってもいいかもしれない。高評価をつけている人もいるので気に入る人は気に入るかもしれない。

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なだ万茶