「圧倒的すぎる創造性の爆発を見た」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的すぎる創造性の爆発を見た
圧倒的な創造性の爆発を見た。本作は大胆であることを恐れない。異質のビジュアルスタイルやタッチが混ざり合うのを避けるのではなく、むしろその融合を大いに歓迎して、さあどうなるか見てやろうじゃないかと言わんばかりに観客を未知なる映像体験へと引き摺り込む。我々もそれが楽しくなり、描写タッチも性格も何もかもが異なるスパイダーマン同士が真向かい、共に戦い、追いかけ、追い詰められる展開に翻弄されっぱなし。次元から次元へ、創造性のトンネルを駆け抜けるたびに、今度はこの手で来るのか、まだこんな手法が残されていたのかと、驚きを超えて口が半開きになる。まさに”スパイディ”というIとWEを同時に堪能する2時間20分。実写映画を凌駕するイメージ量とスピード感を持ちながら、それでいて個々のキャラへと深く入り込み、大切な人への思いを浮かび上がらせる様は繊細だ。次作がどう予想を裏切り、限界を超えるのか俄然楽しみになった。
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