「資本主義のメタファー」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5資本主義のメタファー

2023年6月18日
iPhoneアプリから投稿

グウェンの絵のタッチが素晴らしい。前作に引き続いて映像表現の高さは比類なく、どの絵を切り取っても額縁に納めたくなる。逆さでマンハッタンを眺める2人が美しい。世界観により細かく描き分けてくるので、しまいにはメインのタッチがアニメであることを忘れてしまう。不思議なアンサンブル。
いきなり現れる新キャラから前作から引き続きのキャラ。手数多く仕込まれるジョークの数々、そのうち満漢全席。気の利いたのも、お約束も入れてくる。打席は増えたが、アベレージは下がったかもしれぬ。ペニーあんまり活躍しないし。
マルチバースの考察に頭が取られ、敵キャラのキャラクターが複雑。そのうち、焦点がそこから外れていく。いまさら改竄するには無理も感じる。また、エモーショナルな部分、マイルスの家庭環境にグウェンの家庭環境。2つも似たような設定、重いしうざい。話の推進力にこちらもなっていない。次作の公開までこの設定を覚えていられるか不安。
ラストの急な舵のきり方は思い切っていて、ツッコミたくもなるが、今作のウダウダしたところを御破算にしてくれる一手であればそれも良し。どのみち次作含めてどうかという作品かも知れぬ。

Kj