「映画シリーズの舵を切り直した」名探偵コナン ハロウィンの花嫁 knight423さんの映画レビュー(感想・評価)
映画シリーズの舵を切り直した
スタッフ陣の入れ代わりもあり、いい意味で舵を切り直した作品になったと思う。
映画の特報が出た時点で、安室さんが爆弾をつけられるなんて、どんな状況か?
と思っていたが、
風見を守るがゆえに、っていうのが最初からアツい。
予告編でもでてきた黒電話を強化ガラスに叩きつける安室さん、
コナンに対する顔だったのか。
「君はいったい何者なんだ!?」
怒りとも興奮ともとれる形相。
しかもあれは犯人によって監禁された場所ではなく
被害を最小限にするために自分で閉じこもっていたとは。
最初からコナンに対して、君に協力してほしい、という対等な姿勢の安室さん。
ゼロの執行人のときの最後まで相容れない姿勢の二人とは対照的に描かれていて、
その間の二人の距離間の変化が見えてよかった。
コナンが一人で行動している場面が多かったように思う。
佐藤刑事がコナンを信頼して資料を見せていたり
公安の人たちが降谷コナンタッグをサポートしていたり
さり気なく周りの大人がコナンを推理するコナンに仕立て上げているようだった。
紺青のときのキッドは常に一緒に行動するバディのようだったし、
緋色の弾丸は赤井さんと互いに信頼関係があるうえでのリモート協力プレイ。
今回は拘束されている安室さんの代わりにコナンが外で動くことによる連携プレイになっていた。
過去と現在の事件のリンクが素晴らしかった。
萩原が壊れた水道栓を野球のボールで応急処置をするという出来事を、
松田とコナンがそれぞれ別の時間軸、別のスケールで取り上げて解決策を導いているのが鳥肌モノ。
ここにコナンという文脈を抜きにしても、ミステリーとして成り立っている、シナリオの完成度の高さがあると思う。
よく飛ぶ安室さん。
よく空中で殴り合いする安室さん。
ヘリコプターを撃ち落としてそのまま犯人を死なせることもできたはずなのに
墜ちていくヘリに自分がわざわざ飛び乗って、
復讐はもう終わりであること、犯人に無力であることを知らしめ、
命を守ることによって罪を償う機会を与えている。
これは少なからずコナンの流儀の影響であり、
ゼロの執行人からの信頼関係が発展していることを示している。
その後、復讐をしようとするエレニカの視界を遮り、
突然抱きしめるコナン。
こんな大人な対応をするコナン今まで見たことない。
エレニカが自分の息子をコナンに重ねてみていたようなので、おそらく5,6歳の、コナンに近い歳の子だったのだろう。
エレニカ視点で見ていて胸が締め付けられる思いだった。
※他の人のレビューを見たあと気づいたこと
・側溝とか下水道で火薬混ざってしまうのでは?
→たしかに。。。気づかんかった。(脳が疲れている)
・警察学校組、安室さん、高木佐藤でメインキャラが多すぎて軸がブレてる。
→たしかに。だが、安室さんの配分が媚びてる感じにならずに、かっこいい要素が凝縮されていてバランスがよかったのでは、という感じ。
萩原だけ別扱いでキーパーソンになっていてよかった。
・エンディング後のオチは酷い。
→たしかに後味は悪い。なぜあれにOKが出たのか、それだけは疑問に残る。(ここで★マイナス0.5)
・オープニングがつまらない。
→たしかに強い印象に残らなかった。メインテーマは、あ、新しいな、という感覚が残った程度。
・結婚式は護衛訓練なのに参列者には知らせない。
→ちょっと無理がある。コナンの惚けた顔を見せるためだけのもの。夢オチの方がしっくりきたのに。
佐藤さんは結婚前にウエディングドレス着て大丈夫なの?
高佐ファンは映画の冒頭から納得するのか?
・小五郎、蘭、少年探偵団の出番が少ない
→これはバランスがよかった。その分コナンが一人で行動し、他の大人の助けを得ながら真相に近づいていた。
総合的に、深く考えずに見ればストーリーを追いやすく、分かりやすい映画にまとまっていた。
(アラを探すようにツッコミどころ満載という人もいるが……それはそれ。)
大人向けに振り過ぎていたゼロの執行人を子ども寄りに戻した感じ。
爆発は少ない分、身体を使ったアクションシーンが多く、アニメ的に迫力はキープしつつリアルさを取り戻していた。
エンドロール後以外は、白けずに心をグッと掴まれたいい映画だったと思う。
タイトルを書いて気がついたけど
「ハロウィンの花嫁」って誰かというと、真犯人プラーミャの正体だった、つまりタイトルが真相。アツい。