「素材の活かし方 調理の仕方」名探偵コナン ハロウィンの花嫁 ヤッターさんの映画レビュー(感想・評価)
素材の活かし方 調理の仕方
4月16日鑑賞。
○今年のコナン映画、最大のトピックといえば、これでしょう。
「音楽 菅野祐悟」
コナンの音楽が大野克夫氏じゃなくなるということ。この衝撃を何かに喩えたいのですが、うまいこと言えなさそうなのでやめます。ただ、現代日本のエンタメ作品にて幅広く活躍されている菅野祐悟氏が後継者として(違うかもしれんけど)起用されたこと、ワクワクしないわけがないですよ。そしてその期待にしっかりと応えてくれたと思います。
菅野氏の持ち味である、ストリングスを生かした深みのあるサウンド、堅苦しくならないようなポップなアレンジ、これらは本作にしっかりとフィットしていたと思います。とりわけ、本作のハイライトの一つでもある警察学校組の犯人追跡シーン。ここでの音楽とアニメーションはまさしくベストマッチ!いい意味で、コナンを見ている気がしなかった。
コナンという長期シリーズの中でも歴史の新しい「警察学校編」。それを題材にした本作で菅野氏が起用されたことには納得しかないし、本当にいい仕事をされていたと思います。
○「ゼロの執行人」以来のゲストメインキャラクターである降谷零。今回もバリバリ見せ場が…と思いきや、現代パートでの彼の役割は正しく「椅子の男」そのもの。そしてクライマックスになったら満を持して登場。これは昨年度の赤井秀一もそのパターンであったのだけど、人気キャラを全面に押し出すのではなく、物語の解決はコナンたちに任せて(これはコナンの映画なので至極当然のことでもあるのだが)、最後に用意されたいい場面で活躍させるというのは、興味を持続させる作劇の仕方だなと感じました。
・とはいえ…流石に要素が多かったようにも感じます。犯人かと思ったら犯人を追撃する組織で、その組織とは緊迫した交渉をせざるを得なかったとか、もう少し物語の展開をシンプルにしてくれてもよかったかなぁと。僕は真犯人が分かった時点で結構ヘロヘロでした。
あと、これは完全に個人的なことなんですけど、ロシア人が物語の中心となるストーリー展開に、なんというか、ザワザワしてしまいました。毎年映画の最後には一年後の映画の予告が入るので、昨今の情勢については製作陣も予想だにしなかったことでしょう。ロシア人が悪いとか良いとかではないということも、頭では分かっているはずなのですが、実際のところこんな感想を持ってしまっているので、フィクションはノンフィクションを越えられないのだろうかとも思ってしまっています。ただ、本作のクライマックスのように、国籍関係なく、人命のために手を取り合えるような時代が来てほしいと、心の底から感じた次第です。