「半分の花火」百花 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
半分の花火
認知症を発症した母親と息子の心の軌跡。
双方様々な思い出がフラッシュバックする。
母親にとっては美しい思い出も、息子によってはそうでないこともある。
もちろん逆も真である。
本作に魅かれるのは、だらだらと母親と息子の過去のシーンを描いていない点だ。
思い出を一瞬のカットで描いている。一瞬だから、観る側の想像がかきたてられる。
どうぞ勝手に想像してください、という突き放し感がいい。
母親の観点と息子の観点は、どうしたって食い違う。
そこを描いたところで、どうしたらよかったのかなんて答えが出るはずもない。
互いが共感できる思い出にのみ浸ればいい。
半分の花火のシーンには泣けた。
ふたりの思い出が、切々とした共感をまといながら、昇天していくような気がした。
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