劇場公開日 2022年9月9日

「原田さんと同世代を生きてきて」百花 chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原田さんと同世代を生きてきて

2022年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

60代の自分が10代の頃観た原田美枝子さん  あんな役をあんな少女が演じるのかと思った「大地の子守歌」から約45年 今度は母親を演じ、親の介護に直面している私たちの年齢の者にとって、とても共感できるものであった  いつかは訪れるひとり親である母親の介護、その日が訪れない事を願いつつも、常に意識から離れず、一方新しい自分の家族である妻との間で揺れる息子
母親にも妻にもじっくりと向き合えないことの葛藤を共感している、特に「一人息子」は多かったのではないだろうか  進行していく認知症に、妻の理解があったとしても施設に入所させる選択をせざるを得ない姿は、日常の介護のできない「一人息子」ならば仕方のないものであっただろう、と思うと親の介護に直面している者には辛い描写でもあった
子どもが忘れているどうでもいいエピソードを、特に母親はよく覚えていて、いつか来る本当の母親との別れを前にして、残された時間が少ないからこそ母親との共有できた記憶はとても切ない
関西に住んでいるものとして、震災は忘れることのできないものであるが、多くの人の人生を変えてしまったことをまた意識をした
石橋静河さんが活躍されているが、母親の影響がとても強かったのだろうと思わずにはいられない原田さんの演技であった(9月23日 イオンシネマりんくう泉南 にて鑑賞)

chikuhou