劇場公開日 2022年9月9日

「逃れられない現実」百花 みっちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5逃れられない現実

2022年9月15日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

久しぶりに俳優菅田将暉の魅了させられた。
台詞は多くなく、感情も全体的には一定。そんな中、母を探す泉の息遣いやもどかしさからなる泉の怒りや悲しみ。
少ない台詞の中でもあれだけの存在感を魅せてくれた菅田さんに
久々に心撃ち抜かれました。
長澤まさみさんの起用に勿体ないという声も何度か見ましたが
あれは長澤まさみさんじゃなきゃ成り立たなかったとすら思う。
『嫁』という立場も当然重要だからである。実の母ではなくとも泉と寄り添い続ける限り『母』である事には変わりないからだ。
そして命を繋ぐ重要な存在。
欲を言うなら出産シーンをもっと濃い時間にして欲しかった。
次へ繋がれた命の誕生をもう少し潤いあるものにして欲しかったな。

原田美枝子さんは当然ながら素晴らしい演技で『母』『女』としての苦悩や葛藤、己の幸せ…理解は出来なくても、きっとこんな事はいくらでも世の中にあるのかも知れないと思えた。母として落第であったが故に晩年は罰が与えられたかの様な最後となるのもまた人生かも知れない。

映像酔い?するとSNSで幾度となく見掛けたが、真ん中より後ろで鑑賞するとそんな事はあまり感じなかったので参考にして欲しいなと思います。

自分自身、母でありまた母もまだ健在とする中で、今この作品を観ることが出来たのは良かった。
母親って勝手に元気だと思いこんでいる節があるので、たまには電話したり食事に連れ出したりしてみよう。

みっちゃん