劇場公開日 2022年9月16日

「オススメできない最高傑作」ヘルドッグス サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0オススメできない最高傑作

2022年9月19日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

今月一、期待していた本作。上映開始前から震えが止まりません。もしかしたら、今日は見れないかもと思っていたけど、何とか見れてよかった。本当は未だに見れていない「ブレットトレイン」を見た方が良かったんだけど、やっぱりこっちを見たくなっちゃった。かなり期待値が高かったのだけど...。これこれ!!!これが見たかったのだ!!!孤狼の血ぶりの衝撃度。最高にぶち上がり、最高に気持ちのいい映画でした。

最初に1つ言わせてもらいますと、早口すぎるぞ!
筋は理解出来るし、十分楽しめたから話の内容的にはそこまで問題がなかったのだと思うが、早口すぎるし聞き取りずらいし、情報量が多すぎる!よって、まんまとまた見たいという衝動に駆られているのだけど、にしても分かりにくかったなぁ。故に、とてもオススメできない映画。「孤狼の血」と似ているように思えたのは、こういうことからだろうか。このハチャメチャな感じはすごくいいんだけど、もうちょっと丁寧で分かりやすくしてくれたら★5.0間違いなしだった。

と、不満は以上。これからは、この映画の魅力を。

言わずもがなだが、岡田准一を筆頭とする豪華役者陣のアンサンブルを大いに楽しむことが出来るのが、魅力のひとつ。「ガリレオシリーズ」の北村一輝、「騙し絵の牙」の松岡茉優、「余命10年」の坂口健太郎。近頃の代表作品からのギャップがすごく、役者って面白い!と思えるのが本作なのです。北村一輝、酒向芳、村上淳に関しては「沈黙のパレード」にも出演してますからね。しかも同日公開。なんてことだ。
どの俳優も最高にマッチしていたし、生き生きとしていた。中でも語らざるを得ないのは、もちろん岡田准一と坂口健太郎。相変わらずとんでもないアクションを見せてくれる岡田と、かつて無いサイコっぷりを演じてくれた坂口。もう、拍手喝采。この映画に出てくれて、ありがとうね...。

岡田准一が主演なんですから、アクションは一級品だということは見る前から分かっていたことです。しかし、彼はいつも想像を遥かに超える、キレッキレでなめらかな動きを見せてくれる。邦画の枠を超えた素晴らしい演出とアクションが相まって、興奮度MAX。やはり、岡田×原田監督の相性はよろしい。情報過多というのも、「燃えよ剣」に似ていて、これもまた原田流なのだろう。そこにはあまり好印象を持てなかったが、それ以外は褒めちぎるところしかない。こんな上質なハードボイルド作品を作ってくれて、これまたありがとう...。

カメラワーク・照明もよく、テンポに関しては良すぎるくらい。先週見た「グッバイ・クルエル・ワールド」とは比べ物にならない重厚感と緊張感。ホンモノのヤクザ映画、極道映画、任侠映画とはこういうものを言う。「アウトレイジ」「孤狼の血」「初恋」が大好きな私にとっては、文句の付けようがない大傑作。140分近くある長尺であるにも関わらず、一切の妥協を許さず、無駄ひとつない脚本に心奪われるばかりで、体感1時間以下だった。

笑えるシーンや泣けるシーンなんかはほとんど無いし、かなり重くてシリアス。しかし、真面目に、真剣に作りこんでいる。絶対鑑賞後はどっと疲れが来るだろうと思っていたが、めちゃくちゃ気持ちがよく、なんなら超爽快。クライムアクションとしてここ数年で1番の出来。冒頭も、展開も、話の構成も天才的であり、面白かった!ってよりも、してやられた!って感じがした。まさしく、こういうものを求めていた。何度だって見たくなるような、癖になる作品。惚れ惚れしちゃいますね。

多分、何度も見ていくうちに理解が深まり、もっともっとこの映画を好きになる気がする。好きな役者が出ているから...という安易な気持ちで見ると、とてつもないパワーに押し殺されてしまうかも。この手の映画が好きな人は、ハマること間違いないでしょう。今年のヤクザ映画はこれだ!!日本アカデミー賞、総ナメすることを期待しています。

〜余談1〜
原作の深町秋生。調べてみたら「渇き。」の原作者でもあるんですね。なんか納得。衝撃のベクトルが近い。映像あってこその話だろと思ってしまうので、小説ではどんな風に描かれているのか気になるところ。機会があったら見てみよっかな。

〜余談2〜
書くの忘れてたけど、はんにゃの金田がめちゃくちゃいい味を出している。同じく原田監督と岡田准一の「燃えよ剣」でも出演していた金田だが、あの時から更にパワーアップしており、非常に安定した演技で、鋭く品のある三神という役がハマっていました。ナイスキャスティング!

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2022年9月25日 劇場にて2回目の鑑賞

「恋は光」ぶりに、映画を再鑑賞しましたよ。
どの映画を見ても、やっぱりこの映画の衝撃は忘れられず、色んなインタビュー動画を見たり、レビュアーさんたちの感想を読んでいると、やっぱりもう1回見たい!となってしまい、今に至るわけです。

2回目で、1回目を越しました。
早口でわかりにくい内容も、セリフを聞くことに頭を全て使うことによって理解することが出来たし、しっかりと内容を把握することによって、どれだけこの映画が濃厚で上手い構成なのかが分かった。1回目以上に衝撃を受けました。なんですごい映画なんだこれは...。

現実離れしている内容ではあるのだけど、個人的には今まで見てきたヤクザ映画の中で最高品質。頭をかち割られたような、そんな感覚が気持ちよくて仕方ない。ストーリーも面白すぎて、今まで味わったことの無い興奮を覚えてしまいました。展開の早さと話の濃密さのバランスが天才的。

キャラクター作りも満点。
2度、3度、何度でも新鮮な気持ちで味わえるほどみんな面白い性格をしていて、面白くないシーンを探す方が難しいんじゃないかレベルで、常に見応えがある。気づいたら前のめりになっている自分を客観的に見て、「ああ、大好きだこの映画。」と思いました。ってことで、やっぱり★5.0。一緒に見た友人は、気持ち悪い...って言ってたので、かなり好みは別れるでしょうけど、私は推します。

サプライズ
BAMBiさんのコメント
2022年9月22日

酒向さんはショボショボの老人から、キリッとしたキャリア、アウトローな役までこなしますね!
名脇役だと思います😁

BAMBi
グレシャムの法則さんのコメント
2022年9月20日

コメントありがとうございます。
サプライズさんのほうが私なんぞより、遥かにしっかりとこの作品の魅力を語ってくれてます。だから拝読しながら細部まで思い出せます。例えば、坂口健太郎さんが、穴掘りで手を抜いた後輩のチンピラどもを叱るシーンなんかも、映画としての手抜きが無く、リアリティを増す要素としてしっかりと機能してました。
あらためて作り手の皆さまの細部にまでこだわる熱意に感動しちゃいますね‼️

グレシャムの法則