「日本で同性を好きになるということ。」チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい しゅんさんの映画レビュー(感想・評価)
日本で同性を好きになるということ。
男性20代後半ゲイです。
ゲイ視点でレビューさせていただきます。
今までいわゆるBLというジャンルを楽しんだことがなかったですが、チェリまほにはとことんハマりました。
ドラマの好きだったところは、ゲイという言葉を使わなかったり、男性同士なのにおかしいという疑問提示をあまりしなかったりと、男女の恋愛もののように進んでいく面です。
それは僕にとってとても心地よく、世の中がそうなればよいなという気持ちにさせてくれました。
予告を見て、今回はBLに寄り添って付き合った後の二人のイチャイチャを見ることになると感じましたし、ファンの皆様もその方面の方が喜ぶのだろうとテレビ東京も考えたのかな?とあまり期待していませんでした。
しかしいざ見てみると長崎に転勤したことではなく、ゲイならば誰もが向き合うことになる日本で同性を愛する上での将来の話がメインだと途中で気づきました。
前半のストーリーが少しぐだぐだ感があったので星-0.5しております。
一番印象に残っているシーンは、お互いの親に会いに行くところです。
黒沢も言っていたように親に安達と付き合ってることをカミングアウトするには、家族と縁を切らなければいけない場合もあります。でも映画の中では結果どちらの両親も受け入れて、特に安達家のシーンでは父母それぞれがいう言葉や幸せそうにご飯を食べるシーンに涙が止まりませんでした。
正直今の日本ではなかなか考えられない非現実的なシーンです、しかしこの映画はそれを希望として伝えてくれているような気がしています。
チェリまほは「言葉で伝えることの大切さ」を軸に置いていますが、今回もキャストの皆さんが発する言葉に心打たれる台詞が沢山ありました。
藤崎さんが言っていた「自分が納得するくらいの幸せになれたら」という言葉、それが当たり前であるべきなのにその通りに日本の文化や法律は受け入れてくれていません。誰に迷惑をかけることでもないのに。
この映画はたしかにドラマとは違って、社会問題の提示でした。
原作者の豊田先生が原作使用料の一部をMarriage For All Japan(結婚の自由をすべての人に)に寄附するというツイートをしていること含めて、僕たちに伝えたいメッセージはこのことだったんだと気づかされました。
見たかった映画とは違った、期待外れだった、と思われている方には残念だったかもしれません。
しかしヒューマンストーリーとして、男の子同士のイチャイチャにフォーカスを置いていいのは、あらゆる法律や文化が受け入れてからだと僕は思ってます。
この映画はLGBTQ+にカテゴライズされている僕にとって、希望の映画でした。
一人でも多くの人が、少しでも自分が納得できる幸せに近づける世の中になって欲しいなと思います。