「監督のセルフセラピー映画だった」スターフィッシュ ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
監督のセルフセラピー映画だった
シガーロスや北欧のミュージシャンが奏でる音楽の使い方、一面の雪景色等、ルックは完全に北欧スリラーですが、イギリス・アメリカ合作のインディーズ映画。
映画終盤に至るにつれ、
・怪物の正体とは主人公が向き合わなくてはならない現実であるということ
・主人公はどうやら亡くした友人へ何かをしてしまった?後ろめたいことがあり、それを悔やんでいる。
・主人公は恋人とも別れてしまった。
このようなことが分かってくるが、多くは語られない映画であり、監督自身が友人の死や離婚を乗り越える為に撮ったセルフセラピー映画であるということを踏まえると、理解の手助けになる。
題名のStarfishが英語圏のスラングで意味は「やる気のない人」や「受身な人」など、自分から動くことをほとんどしないヒトデからそういうスラングが生まれたとの話もあります。
また、腕を失っても再生するヒトデのように、何を失ったり、過ちを犯しても、自らを許し、忘れることでしか生きていけないことを表しているのかもしれない。
主人公は全てのカセットテープを集め、「Forgive and Forget」の言葉を発見する。その言葉こそが、主人公というセカイを救う言葉だった。主人公のセカイとは、スーパーがあり、映画館があり、図書館があり、ラジオ局があるセカイ。監督の生活範囲なのか、この非常に狭いセカイに閉じこもっていて、誰かの声がこのセカイに留まるよう主人公を引き留める。この声は監督自身の声なのではないかと今では思う。
かなり独創的だし、正直何が起きてるかわかりにくい映画ですが、大切な人を失った人や、罪の意識を感じ現実が怖い人など、刺さる人にはとても深く刺さる映画になっているんじゃないかと思う。