「この戦慄は、極上。」キラー・セラピー MARさんの映画レビュー(感想・評価)
この戦慄は、極上。
両親が養女に愛情を注ぎ、贔屓していると思い込んだ少年が、心に闇を抱え殺人鬼へと変貌していく様子を描いた物語。
迫力のあるBGMに包み込まれ、画面をポンポンと切り替える手法がこの悍ましい物語をダークに彩っていく。う~ん、怖くて心地よい‼
望まない養女の登場から徐々に心が荒み、セラピストへの信頼も失い、サイコとはまた違った悪の人格が形成されていくブライアン。
ブライアンの苦悩…確かに誰の手にも負えないヤバさがあったけど、校長室の場面は胸が痛くなったかな。フォローする余地は無いけど、結局みんな敵なんだ…っていう絶望感があった。
そんなこんなの繰り返しで、最初は無意識の内にもう一つの顔が出てしまうブライアンだったが、後の彼はもはや…。
やっぱりホラーって、こういう人間の闇を中心に描いた、オバケの出ないホラーの方が怖いですよね(いや、オバケ出てたか笑)。
評価はギリギリ☆4.5といった所‼かなりの高評価作品ですが、逆に言えば個人的に絶妙に惜しい作品とも言える!
このテの作品なら、堕ちていく主人公にもうちょっと同情できる内容の方が好みだったかな。
加えて、子ども時代をもうちょっと見せて欲しかった。
そして何より、憎むべき相手が多すぎて、1人ひとりの存在がちょっと薄く感じたかも。大きな引き金となった妹や変態セラピストさんでさえ、言うて結構影が薄いんですよね。ってか、凄く意味ありげに見てたセラピストの奥さん(?)の写真、アレ結局何だったの?
その人は危険よ!…的な?
いずれにせよ、1人の人間が闇堕ちしていく様と、巻き込まれた人々の末路に終始戦慄が走りっぱなしの超掘り出し物作品だった。
正直今年のラインナップ見てちょっと心配してたんだけど、何だかんだ言って毎年出逢える未体験ゾーンの埋もれた傑作。まだまだ中盤戦だが、今んとこ本作が最有力候補かな。
おまけに、エンディングテロップも雰囲気抜群‼