「原作小説、ドラマとはまた違った良さがありました。」アキラとあきら もっきーさんの映画レビュー(感想・評価)
原作小説、ドラマとはまた違った良さがありました。
とても素晴らしい作品でした。この長い物語を2時間ちょっという短い時間の中にエッセンスを凝縮して映画化してくださったことに感謝です。
池井戸潤さんの原作小説はとても好きで、何度も読み返しています。WOWOWのドラマも原作とは違った良さがありましたが、映画も、原作、ドラマとはまた違った良さがあったと思います。原作やドラマに思い入れが強い方は、あまり比較し過ぎずに新たな気持ちで鑑賞されることをお勧めします。
以下、WOWOWのドラマとの違いについてコメントさせて頂きます。
・物語のキーとなる、北村、ガシャポン、彬の祖父、北村の父が出てこない。これは時間の関係上しょうがないのでしょう。
・一磨社長は、石丸幹二さんで同じ。これはハマリ役ということでよかったと思います。最期の「階堂家はお前が引っ張れ!」の台詞が聞きたかった。
・瑛の父と銀行員の工藤さんが経営計画を作り上げるシーンは見たかった。父が再就職先で一念発起し、「瑛、お前は大学へ行け」というあの場面です。
・羽根田部長の、「金は人の為に貸せ」の次が「金の為に金を貸したとき、バンカーはただの金貸しになる」のくだりが好きだったのですが、変わっていてがっかり。
・幼少期の彬が瑛にロザリオを拾ってあげるシーンと、ラストのボールベアリングを拾ってあげるシーンの交錯が素敵すぎて、涙が溢れてきました。
・井口夫妻からのエアメールが、赴任先でくすぶっていた瑛を奮い立たせたシーンが感動的でした。
・ドラマの彬は、人間味があって優秀な経営者という印象でしたが、映画の彬はとてもクールなキャラクターでしたね。これはどちらがよいというわけではなく、新鮮味があってよかったと思います。
・キャストに関しては、竹内涼真さんはハマリ役でしたが、横浜流星さんは、経営者としては貫禄なさ過ぎてイマイチ。ファンのみなさん、ごめんなさい。
・晋、崇、龍馬の経営者としてのダメさは、それぞれの俳優さんがいい味を出していて、池井戸作品の良さが表れていたと思います。