「これは日本版「プラダを着た悪魔」である。」アキラとあきら ゆちこさんの映画レビュー(感想・評価)
これは日本版「プラダを着た悪魔」である。
お仕事小説ならぬお仕事映画として、生き方も信念も違うのに交わる、2人の銀行員の生き様を描く。そんな「社会を垣間見る」面と、「青春群像劇」の2つの顔が楽しめる。
社会に出て現実に直面すると、否応にも大切にしていた理想を手放してしまいそうになるけれど、アキラ(瑛)はそれを手放さない。単なる綺麗ごとではなくて、それが彼が銀行員になった理由だから。我が身を持って人生を左右されたから。納得できる強い原体験があるからこそ、言動の根源となる「信念」に違和感がなく世界観に入り込めた。
目先の甘い蜜より、人のためになることが巡り巡って自分の人生に返ってくる。真理と分かっていてもなかなか出来ることではないけれど、そう生きてみる勇気をくれる作品だと思う。
尺都合で一つ一つのエピソードを深掘りできず奥行きの物足りなさはあるかもしれないけど、個人的にはテンポの良さが気持ち良かったし、要点は抑えててどの場面も印象的だった。観客を休ませないからこそ物語に没入できる構成だったと思う。少々べただけど、後半の伏線回収はそんなことどうでもいいと思えるくらいスカッとして純粋にエンタメとして楽しかった。
竹内涼真の泥臭い青年の演技が上手い上手すぎる...リアリティーショーかしらと思った。エンドロールの時間よかったなぁ…こんなに感動すると思わなかったのでびっくりしてしまった。
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