「創成」ハケンアニメ! U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
創成
作り手の苦悩がいっぱい詰まってた。
見応えあった。
実際の現場は分からないのだけれど、監督と呼ばれる人々の苦悩や葛藤は良く分かった。
特に中村氏が吐く台詞が刺さる刺さる。
アニメの監督って、世界をも描かなければならず正に神と同等のポジションなのだなぁと思う。
その作品がある世界を、そこに生きる人々を創成する。描かなきゃ始まらない。描かなきゃ進まない。
どこにも何もないから、捻り出して白紙の紙に落とし込まなきゃいけない。
……相当しんどいなぁ。誰でもやれる職業じゃあないな。生半可な状態でいったら大火傷だな。
メインキャスト4人がサイコーに良かった。
尾野さんの言う「私に局と戦う武器をください」とか、あんな言葉向けられたら、血が沸騰しそうだ。
なんか妙な手応えで…絵も芝居も結構静かな感じなのだけど、熱を感じる。
それも表面的な熱ではなくて、地熱のように地面の奥底から伝播してくるようなジワリとした途絶える事のない熱。不思議な感想だった。
物語としてはキャッチーな題材だけど、どうしてどうして語られる内容は以外とハードだ。
結構、リアリティを孕んで語られたりもしてる。
そこら辺にも見応えを感じてたのかもしれない。
しかし、まぁ、俳優と声優の声質の差よ。
どんだけマイクに乗っけてくるんだ。
作中は意識してあの音域にしてるのだろうか?アテレコの時とそれ以外で変えてもいいようなものなんだけど、全く変わらない。
彼女の発してる言葉は口ではなく、頭頂部から発せられてるようだった。大した人なのだろうと思う。
珍しく、1番好きなシーンみたいなモノがあって、両者がスクリーンをバックに初対談するシーン。
なんか、お二人とも見事で…かつ、編集もアングルもコレしかないって感じでした。
「嫌です」を引き絵で見せるトコなんて無性に想像力を掻き立てられる。
シナリオの構成とかも素敵で、監督の手腕を堪能できた。
映画本編の感想からは脱線するが、最早、アニメだからこそ出来るモノがあって…それは仮想空間とかロボットとかって話じゃなくて、脳内世界の再現率というか…ほぼ全ての事にこだわれて、それは同時に責任を負う事にもなるのだけれど、0か100を判断する自由と不安って格別なんだろうなぁ。
なんせ、全てをゼロから作り始めるのだから。
やば、鳥肌たつわ。
アニメ雑誌の表紙を描くシーンの作画する人の声のトーンも素敵だったなぁ。
最早、ピカソとかダヴィンチの域に達してるように思えた。