「いつまでも遺る、ラセターは偉大だったという皮肉」バズ・ライトイヤー M.Sakaiさんの映画レビュー(感想・評価)
いつまでも遺る、ラセターは偉大だったという皮肉
ポリコレ大いに結構だ、だがそれならアンディが少年時代夢中になったという設定は矛盾する。
ブロードウェイ版アナと雪の女王ミュージカルで、クリストフが黒人に変更された時のような…
黒人や同性愛者がいてもおかしくない時代、設定の上ならわかる。しかし時代考証を無視してまでのポリコレ重視は、もはや作品を破壊しているだけ。
トイ・ストーリーに着想を得た、バズが実写映画の主人公だったら、というスピンオフでいいじゃないか?
インターステラー的設定、重要なキャラクターが同性婚をして子どもまでいる…90年代の白人少年だったアンディが、この作品に夢中になるか?それ以前に理解できるか?
アンディは平均よりかなり良い子として描かれてはいたが…
「ママ、なんで女同士で結婚してるの?」
「…そうね……そういう星だからじゃない?」
「じゃあなんで女同士で子どもができるの?」
「……」
「なんで?ねえなんで?」
こういった会話が母との間に生まれるだろう。アンディ少年がバズを憧れのかっこいいヒーローとして夢中になる…というにはほど遠い。好意的に見て、幼い少年はヒロインでない女性キャラのことまで気にして観ないだろうと考えてみても、当作品のバズはわかりやすくみんなを救ったヒーローではないし、幼い男の子が好きになる要素がない。
ラセターのスキャンダルについては、映画には関係ないので触れない。だがラセターが去った後のディズニー&ピクサー、誰の目に見てもわかりやすく作品の質が落ちていってはいないか?
トイ・ストーリー1~3、レミー、カーズ(1と3。2は含まない)、ニモ、カールじいさん、アナと雪の女王(2は含まない)…誰が観ても面白い、魅力的な3Dアニメ作品が、ラセターなきディズニー&ピクサーから一向に出てきていない。
ラセターがいた頃も、ベイマックスやカーズ2など、ひどい作品もあった。全てに彼が携わっていた訳でもなかろう。
しかしながらトイ・ストーリー4やアナと雪の女王2の惨状は記憶に新しいだろうし、とにかくポリコレによって作品が破壊され始めたのはラセターなき後だ。これは偶然とは言い難いのではないか。
ピクサー作品は特に、日本のアニメと違いキャラクターの美しさは不要で、ひたすら脚本と世界観で魅せていた。カールじいさんなどは、せめて妻の少女時代くらいは美しくしても…。と思わなくもなかったが、それでも泣けて笑えて良い作品だった。ラッセルがアジア人の肥満児というのはまさにポリコレだが、話が面白いので気にならない訳だ。
ところがトイ4やアナ雪2はどうか?エンタテインメント作品がポリコレに配慮ではなく、ポリコレのための映画になっている、当作品もまさにそれだ。
ディズニー&ピクサーにキャラ萌えははなから求めていない。キャラで魅せる、ストーリーで魅せる、それぞれの持ち味として楽しんできた。
当作品もアンディ少年が夢中になった、という蛇足さえなければ、近年の社会情勢もあるしまあ仕方ないだろう…と思えた。
ポリコレは作品を破壊しないならいい、異様に鼻の大きい造形もそういうものだと理解している。そろそろ、ラセターなきディズニー&ピクサーから、ストーリーで魅せる作品をリリースしてはくれないだろうか。
同感です。
しかしディズニーは多様性を認める映画をこれからの100年に向け大体的に掲げております。
美女と野獣(ポリコレ舞台版)、ピノキオやリトルマーメイドの実写版など止まることを知りません。
大コケでもしないことには収まりません。
残念ながら(;ŏ﹏ŏ)