「【”哀切なる対価交換・・”妖幻艶美な蜷川実花ワールドにドップリと耽溺する作品。柴咲コウさんの美しさと、吉岡里帆さんのボンデージ風の衣装が、エロティックでちょっとドキドキした作品・・。】」ホリック xxxHOLiC NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”哀切なる対価交換・・”妖幻艶美な蜷川実花ワールドにドップリと耽溺する作品。柴咲コウさんの美しさと、吉岡里帆さんのボンデージ風の衣装が、エロティックでちょっとドキドキした作品・・。】
ー 蜷川実花監督作品は寡作である事もあり、偶々、全作鑑賞している。
真紅を基調とした、艶美な世界観はこの芸術家と言っても良い監督にしか、出せないモノであると勝手に思っている。
今作は、その世界観が、
「へルタースケルター」(凄い映画であった。残念ながら主演された美しき女優さんは妖幻な世界に憑りつかれてしまったが・・。)
「Diner ダイナー」(キッチュな色彩を伴った意匠が印象的。)
に続き、全面的に衣装、意匠で表現され、観る側を強烈に吸引する。
特に”ミセ”の女主人、侑子(柴咲コウ)の部屋の造作は魅惑的でさえある。-
◆感想
・幼き時、自分をバスから守るため、雨中に母を失ってから、四月一日君尋(神木隆之介)は、魂が抜けたような生活を送っている。そして、彼にはその哀しみ故か、人心の闇が視える・・。
ー 四月一日には、生活感が全くない。父親も映されない。けれども、私はそれで良いと思う。何故なら今作品はダーク・ファンタジーであるからである。-
・四月一日は人心の闇(見栄により破滅した女性(趣里)が劇中では描かれる。)を視えないようにするために、”ミセ”の女主人、侑子を訪ねるが”対価交換”で大切なモノを差し出せ・・、と言われる。
ー この時点で、侑子はこの世のモノではない事が分かる。-
・四月一日は同級生の、由緒ある神社の息子、百目鬼(松村北斗)と、闇を抱えるひまわり(玉城ティナ)とふとしたきっかけで交流を始めるが、四月一日の能力を持つ”眼”に惹かれたこの世のモノではない女郎蜘蛛(吉岡里帆)に襲われ、毎日が、”四月一日”のラビリンスに陥る・・。
ー 女郎蜘蛛を演じた吉岡里帆さんの、ボンデージ風の衣装と、四月一日を絡めとる紅い紐が、物凄くエロティックでちょっとドキドキする・・・。
あれは、絶対に意図的だよね、蜷川監督!
ルカ・グァダーノ版、「サスペリア」でも、ダコタ・ジョンソンが紅い糸を身体に絡めながら前衛舞踏をしていた事を思い出す。-
・女郎蜘蛛と彼女を慕う男(磯村勇斗)と侑子の神社境内での対決シーンもVFX全開で、ナカナカに面白く・・。
■個人的な意見(原作を読んでいないので、勝手な意見です。)
・侑子は、”四月一日の亡くなった母親ではないか・・”、と思いながら後半は観ていた。彼に一緒に”家政婦”として住むように命じ、掃除をさせ、料理をおいしそうに食べる。
朝食に必ず出てくる甘めの出汁巻風卵焼きを始めとした和風料理が美味しそうであったなあ。
侑子は、四月一日に、強力な妖力を持つブレスレットを渡すしね・・。
そして、女郎蜘蛛との対決の後、消えゆく侑子は四月一日に手を握られながら、彼の下の名を口にするのである。君尋(きみひろ・・)と・・。
哀切なる”対価交換”(自分の命と息子の命)を表したシーンであると私は思ったのである。
<今作は、ストーリー展開的には、イロイロとあるかもしれないが、唯一無二の妖幻艶美な蜷川実花ワールドにドップリと耽溺する作品である、と私は思ったのである。
橋本愛さんが、少しだけ出演されたのも、嬉しかったな・・。>
私自身は、今回の作品は物足りなかったんですが、侑子さんを四月一日君の母親に想定するのは、思いつかなかった。
ならば、侑子さんの「おいしい」の一言は切なく響きますね。