「尾田栄一郎が監修したとは思えない」ONE PIECE FILM RED ハニィさんの映画レビュー(感想・評価)
尾田栄一郎が監修したとは思えない
Adoのファンには嬉しいかもしれないが、ワンピースファンとしては尾田栄一郎監修映画の中では最低。
ウタをヒロインとして売り出したい!Vtuberとして売り出したい!Adoのアルバムを売りたい!というのが全面に出た映画であり、面白いとは思えない。
前半はずっとAdoのミュージックビデオを見ているようだった。ウタが踊っている描写もVtuberとして活動している時のCGが使用されており、わざわざ劇場でみる意味があるとは思えない。せっかくの戦闘シーンすら、そのCG等が被るため、どちらの良さも殺している。
ベポやサニーのデフォルメ化も唐突かつ無意味であり、このキャラクターグッズを売りたいのかな…と思った。不必要かつ意味不明。ラストにルフィが何故かサニーに呼びかけるが、サニーとのやり取りなんてなかったので、それすらも意味がわからない。
ラストの盛り上がりはワンピース感があったが、7曲のAdoの歌のせいか、尺が短い。短い時間に全員の技を入れなければならないので、薄い。ウソップのシーンでも感動させたかったのかもしれないが、感情移入するにはフリが短すぎるし、本編でも出会っていない親子の共闘は正直萎える。
呪いで楽譜が意志を持ち、魔王という謎の存在が悪魔の実の能力者に影響を与えるなどというよくわからない設定についても、解説のシーンが少なく、納得できないままである。
結局ウタをヒロインとして描きたいのか、悪役として描きたいのかが分からない。やっていることは悪役なのに、周りが必要以上にヨイショする為、気持ちが悪い。ネズキノコのせいだとするならば、それを食べたのも他人のせいであるという描写が必要である。自分でラリったくせに薬のせいにすれば全て許されるとでも思っているのだろうか。
全体を通して絵自体も最近のアニメ本編の方がクオリティが高い。広告や曲などに金をかけ、ワンピースという作品を蔑ろにしているようにしか見えなかった。
今までのワンピースという世界観の設定をぶち壊すような映画であり、世界観矛盾が酷いので原作ファンの人は見ない方がいいと思う。