「ONE PIECEとして期待しない方が良い」ONE PIECE FILM RED 無さんの映画レビュー(感想・評価)
ONE PIECEとして期待しない方が良い
◾︎良い点
・歌が良かった
個々の曲の完成度、Adoさんによる歌唱力で楽しめる
・後半の戦闘シーン
シャンクスとルフィという接し方が難しいキャラでも齟齬なく共闘できる良い演出だと感じた
・赤髪海賊団が格好良い
幹部の個性や強さが分かり、より魅力的なキャラになり原作での登場が楽しみになった
◾︎悪い点(酷評なため注意)
・歌が多すぎてミュージカル化
Adoさんの歌い方の癖が苦手な人は見るのが辛いと思う。前半はほぼ歌です。好きな人は楽しめるがくどすぎるかも。
ミュージカルは好き嫌いが分かれるため、わざわざONEPIECEという作品でやることじゃないと思った。
・ウタというキャラが好きな前提で作られているにも関わらず性格の好き嫌いが分かれる
・ウタの言動に対して、境遇に同情の余地があるとはいえ共感しきれない
後半はネズキノコによる暴走が原因だったとしても、他の人を巻き込んで心中しようとする意図は正気な本人のものだったはず。救済しようとするのは本心でも結果として救済ではなく、一方的で迷惑でしかない。大量殺人未遂だし。自己中心的で自分の理想を押し付けて、皆もそれが幸せでしょう?と思っている。それを新時代と言って好意的に受け止めるのはやめて欲しい。
好きになれること前提で話進められているが、私にはあまり魅力を感じられなくかなり好き嫌いが別れると感じた。人によっては可愛い、人によってはムカつくと感じる言動が多く万人受けはしない。
この脚本にするのであれば歌を削ってでももっとキャラクターの背景を作り込むべきだった。
これも個人的な意見だが、辛い時期にたった1人で支えて育ててくれたゴードンにお礼の1つも言えんのか〜それどころかあの仕打ち。シャンクスに対してより恩があるんじゃない?
・主人公がルフィじゃなくてウタ
ウタに尺を取られすぎて麦わらの一味の影が薄いと感じた。活躍が無い訳ではないが印象に残らず、もっと麦わらの一味の活躍が見たかった。
あれだけ期待されているシャンクス達赤髪海賊団も出てくるのはかなり後半なので活躍を期待していたら少し拍子抜けかもしれない。
・キャラクターの言動 原作との齟齬
・ルフィ
ルフィが新時代を作るみたいな発言をしていたが個人的に違和感があった。
海で1番自由なのが海賊王だと公言しており、今までも自由奔放に振舞っていて結果は後から着いてくるキャラクターだった。
ルフィにはこの台詞を言って欲しくなかった。新時代と絡めたい無理矢理感
・シャンクス
シャンクスは自分の娘と同義の存在をあんな島に置き去りにしないだろうなと。
そもそもトットムジカはあの島にあり、ウタウタの実に反応してあんな悲劇が起きた。意図はなくても結果的にウタのせいであんな状況になった島に、会ったばかりのおじさんと2人きりにして置いていくか?再びあの悲劇が起こらないとも言えない(実際起こってる)。ウタ本人の意思に逆らうにしても辛さしか残らない、幸せになれない島に長い時を過ごさせようとするかな。
シャンクスはそんなキャラではないと思っていたし、頭のいいベックマンなど赤髪海賊団はそんな想像もできないとは思えない。
実際連れて行ったら齟齬が生まれるし原作との整合性が理由だと邪推するが、それにしてももっと良い脚本にならなかったのか?
2人のこの点に私は違和感があったが、キャラクターの言動に厳しい尾田さんはこれでOKを出したのか...?
・40億巻を見ないとストーリーが補完できていない
特典の40億巻を見てやっと理解できるキャラクターの背景があり、脚本で書ききれていないのに問題があると感じた。
これは限定特典であり、当然読めない人もいる。歌の演出に時間を取られすぎて脚本の解像度が低い。
・設定自体に無理矢理感
全体通してウタというキャラクター無理やりだなと。今までの原作にわざわざ押し込めなくていいと思った。パラレルワールドならまぁ...いいかな
◾︎告知の仕方について
・まだ公開されてもいない映画キャラを押し出しすぎ
やたらとウタウタ押し出してきて苦手意識が強くなった。
ただでさえ難しい設定なのに好きでいるのが当然みたいな売り出し方に違和感。
映画は映画、原作は原作と棲み分けした方が良かった
シャンクスという作中で最高のカードを切った割に万人受けする映画ではない
1つのエンターテインメントとしては面白いのでウタとAdoさんが好きなら1度劇場で見たら楽しめると思います。
ONEPIECEファンやAdoさんファンなら気になるので見に来るとは思うが、シャンクスとAdoさんをダシにしてお金を稼ごうとしているように見えてしまった。
これを「最高にヒットした映画」とは思いたくないです。