「とてもがっかり。ワンピースを見た気がしない。」ONE PIECE FILM RED カン・ガルーさんの映画レビュー(感想・評価)
とてもがっかり。ワンピースを見た気がしない。
40億巻のネタバレ含む感想です。好き勝手なこと言ってます。
まず、前半がほぼミュージカル。これが1番キツかったです。曲に関してはウタには聞こえず、もろにAdoさんの歌のようでした。Adoさんには申し訳ないですけど、ウタはキャスティングミスだと感じます。上手だけど天使の歌声って言うぐらいなら、せめて前半の方の曲ぐらいは、がなったりしないもっと上品な歌い方がいい。死にかけの時も小さい時も、めちゃくちゃ大人っぽくて芯のある声で、いやいやまだ生きれそうじゃん⁉︎20歳ぐらいでは⁉︎みたいな……。別にこれはどうでもいいですけど、例えるなら「B'zの稲葉さんは本当に歌上手いし格好いいけど、歌の王子様って言われたら、そういう声とか歌い方じゃないよな〜」というような感覚です(?)でもこういうのは本当に好みだと思います。
ウタというキャラに関しては、もどかしさしかありません。いきなり設定詰めすぎ!ついていけない!25年間連載してきて影すらなかったのに、まさかの1話にオリジンぶち込んでくるのはすごいと思いました。シャンクスにはまだ謎が多いから娘っていうのはまだ飲み込めたけど、ルフィに幼馴染の存在はあまりにも寝耳に水。盛りすぎでは?とマーケティングの圧を感じますが、これまでの伝説ジジイ達を考えれば、21才の女の子にはこれくらいインパクトが必要なのかも。
しかし結局その設定も持て余していたような。過去回想の「ウタはいいのになんで俺はダメなんだ?」とか「自慢のお父さんで船長」みたいなくだりは退屈でした。ルフィは船に乗れないし、父とは会ったこともないしで、完全に聞き手。ここらへんでようやく、REDの主人公はウタなんだと認めました。感想として、「これはワンピースでやる必要があったのか」というのをよく見かけます。それはウタが歌手、アイドルだからこそできた、今までのワンピースより現代的なメッセージに対しての称賛、もしくは指摘かもしれません。私もこういった新しい試みは素晴らしいと思います。まだまだポテンシャルがあって、裾野の広いコンテンツなんだと嬉しい気持ちもあります。
しかし、恐ろしいぐらい世界観に合ってない。そもそもあの世界の最強メディアはまだ新聞で、インターネットなんて普及してないのにいきなりインフルエンサーみたいなことされても違和感があります。
そしてなにより、この映画の主人公はルフィではなくウタであるということ。本当にがっかりです。「主人公がルフィじゃない。これってワンピースなの?」私が思うワンピースでやる必要があったのか、はこれに尽きます。
そう思ってしまったら、回想でルフィがウタと友情を築いたとか、大切に思ってるっていうのが理屈ではわかっていても、感情移入という点で今いち補完できませんでした。ウタに入れ込める熱量がなかった。
とまぁいろいろ言いましたけど、自分の中でルフィの過去編がエースとサボの話ですでに固定されちゃってるっていうのも大きかったです。もっと柔軟に見られればよかった。
そもそもルフィの夢が新時代を作ることだったのもびっくり。これは私の読解力不足なんですけど、ヒーローになりたくないのに、それってどういうこと?今までの冒険だと、気に食わないやつをぶっ飛ばした結果、革命が起きちゃっただけじゃん。新時代を作るのが目的なら海賊じゃなくて革命軍でいいじゃん。これ誰か考察あったら、教えてください!それか原作で今後わかっていくのかな??本当に楽しみですね〜!
そしてウタの軸のない悪役っぷり。世界7割滅亡(仮)しようとしたけれど、理由が消極的すぎて最後にはウタも被害者なんだよな……みたいな雰囲気さえありました。結論だけ言えば自死なんでしょうか。でも、行動理由は他人の願いを叶えるため。あぁ〜いじらしくて健気だなって思ってたんですけど、途中からそうもいかなくなり。いや置いてかれた理由わかってんのかい!!後戻りできない!?え!?なんで!?戻るんじゃなくて止まれや!そこで!!!一旦配信をやめて考える時間を設けてみては!?!?となってしまいました。それでモヤモヤしながら、40億巻読んだらこれらの行動は国滅亡の罪悪感から自分が救われたいがためのものだったっていう。そういうのって人間臭くて可愛いですけどね、若い女の子があんまり不器用で泣けてきますけどね、40億巻読まないと伝わんないじゃん。映画で言ってよ!
あと、置いてったシャンクスもちょっと悪くないですか?他にやりようがあるでしょいくらでも!大事な娘かもしれないけど、ウタは赤髪海賊団に誇りを持ってるクルーなんだけど⁉︎シャンクスについて知らないせいで、この判断を全く推せない。
あとこれは偏見ですがウタの行動は平たく言ってメンヘラなので、メンタル強い人が多すぎるワンピース界では浮いて見えた、もしくはまったく新しいキャラだったのかもと思いました。尾田栄一郎先生はどんどん魅力的なキャラを生み出すので、ほんとすごいし原作本当に楽しみです。
そしてウタが主人公となった代償として、他のキャラがもうスタンピード以上に収集が付かなくなってた。信じられないくらい麦わらの一味の活躍が少ない。ジンベエやっと仲間になったのに、2分ぐらいだよ総出演量。主人公のウタと絡みがないからモブみたいな扱いでした。ベポのドリフ見たいなボケも微妙としか言えん……。ブルーノに瞬間移動要員、バルトロメオにサイレント要員取られたトラ男は一体なにをしていたのか……。ツッコミ要員?しかしバルトロメオはボケボケで面白かったです。あとコビー!!コビーが英雄として扱われてるし、皆を取り仕切ってるのすごくよかった。まあ用心して来てるわりには、対策ガバガバで笑っちゃったけど。
赤髪海賊団に関しては、今までよりは長尺での登場だけど期待したような派手な戦闘はしてなかった。そもそも戦闘シーンが少なかったし、まぁ総力戦だから当たり前か。40億巻をみたらどういうふうに戦ってるのか書いてあって面白かったけど、読まなきゃわからないと思う。しかしウソップとヤソップはあんな簡単な再会でいいの??ルフィとの再会は今後!っていう制約でよく乗り越えたなとは思うけど、これから原作でシャンクス達の活躍が期待できる以上、この映画自体今じゃなくてもよかったんじゃないかというのがある。REDっていうからシャンクスの話かと思ったし、まさにシャンクスについて知りたいのに、その娘の話されても……。この肩透かしを食らったせいで、ウタはすごく魅力的なのに、まだなんとなく拒絶感がある。例えるなら、ソシャゲのガチャがすり抜けたような脱力感(?)訳わからないことを言ってしまいましたが、要はウタはある程度シャンクスの掘り下げがされた後なら、もっとちゃんと好きになれたと思うんだな、ということ。
最後に、個人的にすごく残念だったのがサニー。ミニキャラ化して自我まで持たせたのに、可愛いだけで全く活躍しない。出番全部で1分ぐらいだったんじゃないの?フランキーと絡みもしなかったし。メリー号は空島で自分で修理してたし、エニエスロビーに皆を迎えにきたけどな。しかも鳴き声がサニー。プリキュアのマスコットみたい。メリー号はありがとうって伝えていったけどな。せめてガオン砲撃て〜!最後のルフィがサニーに想いを馳せて、「海賊王に俺はなる!」っていうエンドも謎。え、なに……??サニーがなにしたっていうんだ。
総じていうとわたしにはこの映画はまだ早かったということです。ワンピース大好きなのにこんなに飲み込みづらいのははじめて。なんとかなりたい。
追記
アニワンと本誌を見る以上、ウタの存在は正史なんでしょうか。シャンクスとウタとの7年間の絆の前では、シャンクスとルフィの約束が小さく思えて、1話がなんだかしょっぱく見えてきちゃいました。連載ってワンダーランドだから振り落とされる方が悪いんですけど……。
コメントありがとうございます。こんなしっちゃかめっちゃかな文章も丁寧に汲み取って下さって、嬉しく思います。
キャラクターの原作との剥離ですか〜!尾田先生が監修していても、映画となってしまうとやっぱり仕方ないことなんですね。
確かに今漫画が本当に面白くて、私自身過去最高の熱量があるので、映画にもその延長の期待をしていました。前情報無しで楽しみたくて、ウタについてあまり調べなかったのも失敗でした……。あれだけのプロモーションからも察するべきでしたね。
悔しいですが、次からは映画と原作は少し別物と捉えて、一味の活躍は原作で楽しみたいと思います。
あなたは悪くないです。
なんとかなります👍
映画化あるあるですが、
設定から全てがゼロから作られる映画作は問題ないんですが、
原作のあるもの、ましてや漫画という映画に比較的近い存在で原作があるものは、映画化のときに「時間の制約」を強烈に受けます。
ハリー・ポッターでも起こってはいたのですが、元が絵じゃないので、誤魔化し効くのですが、漫画特に現在進行形のONE PIECEだと、乖離が激しく生じます。
どういう乖離かと言うと、
キャラクターです。
漫画やアニメだとキャラクターを描く時間があるのですが、(漫画が予告通りに完結していないのはこれ描いているからですが笑)
映画はそんな時間は無いです。しかもキャラクターも増えすぎたので、昔みたいに全て描けない。ある程度汲み取っても各キャラクターが薄くなってしまうので、1人2人に絞って描くということになってしまいます。
それが乖離となってしまうのですが、映画だから仕方ないじゃない笑
レビュー☆5の人は、そこ映画として観れてるんだと思います。これは映画なので。ONE PIECE映画って今はこうです。