「思い掛けない感動をありがとう———「RED」の理由」ONE PIECE FILM RED しんぷるさんの映画レビュー(感想・評価)
思い掛けない感動をありがとう———「RED」の理由
ワノ国へ上陸したあたりで止まっているファン、かつワンピース映画の鑑賞は本作が初めてな人です。
事前情報は「シャンクスが出る!ウタという歌姫が出る」ということぐらい。結論から言うと、思い掛けなく感動し、幾度か涙することに…。
冒頭からウタの歌声・楽曲に魅了されました。映画全体で6〜7曲くらいをウタが歌唱。2曲目途中くらいで、ああこのワンピース映画は、楽曲を中心にすえた「ミュージック映画」だと気付きました。
そうなら曲を楽しむ方に頭を切り替えようと、結果、鑑賞中にリズムを取ったり、踊り出したくなったり、涙あふれたりと満喫していました。
ウタの歌声はAdoさんだと多くの方が気づいたのではないでしょうか。Adoの歌声は好きですし、Adoがいたからこの映画が成立したと思わせるほど。
作曲陣も個人的に大好きな中田ヤスタカ/澤野弘之/秦基博らを始め、Mrs.GREEN APPLE、Vaundyなど錚々たるラインナップだと後から知って納得でした。
逆に音楽の好みが合わない方にはツラい映画体験かもしれません。
・タイトル「RED」
本作はウタを見守る父親としてのシャンクスがメインテーマなのだと感じます。
少しメタ的な話ですが、シャンクスへのウタの想いやウタ世代の子らが持つ親に対するリアルな感情をナイーブに捉えてはないです。ですが、もしウタが世界の歌姫として幸せな人生を過ごしていたならシャンクスはウタの前に出てこなかったんだろう———でもウタの緊急事態にシャンクスは、
「世界を敵に回しても娘を守る男」
として手を差し伸べにきた。タイトルに込めたメッセージはシャンクスの生き様なのだろうと。
そしてウタのこれまでの人生を想うと、映画のラスト「いつだってあなたに届くように歌おう」のフレーズに泣きました。
映画を彩るウタの歌声やファンが喜ぶ多彩な登場人物、可愛いサニー号(ペボはまぁ…笑)など、老若男女問わず楽しめる映画です。
コミックス作中のシャンクスの存在感があまりにも大きいが故に、本作のシャンクスの深堀りが物足りなくなる気持ちも分かるので星4.5とさせて頂きました。
最後、ウタの結末がどうなったのかよく分かりませんでした(死んでしまったと思いたくない…)。確かめるためにも、今度はスクリーン正面のウタの歌声が最も響く席で観たいと思います。