「キャラモノ映画としては良作」ONE PIECE FILM RED ねむれむさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラモノ映画としては良作
前作のスタンピードが酷すぎたせいもあると思うが期待以上に楽しめた。原作ありの作品のため本編に影響のある話にできないのは当たり前、実際人が違うので声と歌唱で声質が違うことも仕方ないと思う。名塚佳織さんの演技は迫力がありつつ流石の安定感、映画館の音響で聞く楽曲もまた迫力があり楽しめた。マクロスやディズニー映画のような雰囲気。本作のヒロインキャラと見せかけて実はボスキャラであったウタは純粋な性格と能力の凶悪さのマッチが不気味でなかなか魅力的だった。実体化した魔王を倒すことで全て解決してしまうのは少し唐突な気もしたが、2時間映画、キャラモノ映画であることを考えれば妥当な落とし所だと思う。一番良かったのはウタが最近の原作本編のやたら長ったらしい戦闘とその割に感情移入できない敵キャラ達よりも余程行動原理が明確で敵として魅力のあるキャラだったこと。能力の攻略を重視していたり、ルフィがクールだったりとむしろこの作品の方が昔の原作の雰囲気を感じる。全体としてもデットエンドに次ぐ良作だと思う。カラクリ城以前の作品は幼少期に見たため、今見直せばデットエンド以上と感じるかもしれない。本編がだいぶ終盤に差し掛かってると思われる今、この手の映画の常套手段である空白の何日間設定で使えるキャラや設定はだいぶ限られていると思う。ストロングワールドを作った頃以上に使える設定は限られていたのではと思うがその中で良くこの作品を作ってくれたと思う。夏に映画館で楽しめるワンピース映画を観れたことが嬉しい。
追記
映画を見終わってからYoutube公式にウタ日記なる動画があることに気づいた。映画より先に、ウタが投稿した動画として公開されていたらしい。FNS歌謡祭に出演した動画もあった。どの動画でも名塚さんの演技が自然でウタを実在の人物のように感じることができた。単に客寄せであれば声優にアイドル声優や女優を起用することもできただろうが、敢えて台詞も歌唱もそれぞれのプロを起用していることにこだわりを感じる。
追記に追記
楽曲シーンを削れば内容をより濃くできるというレビューもあるが私はそうは思わない。説明臭くなるだけ。実際に何度も、何度も、何度も、何度も、歌うことで心理上の緊迫感が伝わり、虚構である作品の世界と現実の視聴者の世界が繋がる。楽曲のシーンは絶対に削ることができない。