「現代アメリカのギャング史(主演のハーベイ・カイテルが痺れるほど格好良い)」ギャング・オブ・アメリカ saciさんの映画レビュー(感想・評価)
現代アメリカのギャング史(主演のハーベイ・カイテルが痺れるほど格好良い)
カジノ経営をギャングの生業にした男
映画の中盤で印象的な言葉があった。
「殺人(殺してしまっては・・)は、金にならない」
そう言ってマイヤー・ランスキーはマーダー・インク(殺人株式会社)の経営から、
経済ギャングに方向変換した。
ランスキーは数字にはめっぽう強かった。
マイヤー・ランスキー(1902~1982年)
投獄もされず、仲間にも殺されず、天寿を全うしたギャング。
彼は生涯を、売れないライターのデヴィッド・ストーン(サム・ワーシントン)に語り、
回想シーンでランスキーの過去を振り返った映画。
ギャングの近代化を見るような映画だった。
暴力からビジネスマンへ。
過去のマフィア映画。
「ゴッドファーザー」1972年公開の伝説のマフィア。コルレアーノ・ファミリー。
「バグジー」1991年公開。砂漠にラスベガスを作ったベンジャミン“バグジー“シーゲルの生涯。
(ランスキーはバグジーの片腕だった)
「グッドフェローズ」1990年。仲間同士が、裏切り殺し合う血みどろの世界。
「ブラック・スキャンダル」2015年。
ジョニー・デップがギャングのボスホワイティを演じた。
この映画は自ら手を下して殺すやら、麻薬売買の現場は抑えられるわで、証拠の垂れ流し。
これらのギャング映画で、警察との癒着や政界との馴れ合いも描かれている。
ギャングの考え方、生き方そして家族。
デヴィッド・ストーンもランスキーも良き家庭人であろうとするものの、
ランスキーは妻から「結局は犯罪者でしょ!!」と断罪されるし、
デヴィッドの妻は金にならない夫を見下して浮気に走る。
しかしランスキーのビジネス・・・キューバのカジノ経営は大当たりして、
イスラエル政府に巨大な資金援助をするまでになる。
と言うことは、国際的にも権力者として一目も二目も置かれること。
(ランスキーのルーツ、ユダヤ人愛も見もの)
ランスキーの隠し財産に興味を持つFBIはストーンに盗聴器を仕掛け、
更に金を交換条件に懐柔を図る。
本当に隠し財産が3億ドルもあるのか?
アル・カポネも晩年、FBIの監視下に置かれて、隠し財産を見つけるために、
FBIは大掛かりな盗聴を仕掛けて屋敷の池を掘り返したりしていた。
それって結局、徳川埋蔵金と一緒でしょうね(笑)
ギャングの大悪人(ランスキー)も年老いて余生をマイアミで悠々自適だもんね。
良いご身分です。
ラストに流れるテロップ。
皮肉ですね。
カジノ事業は巨大な税収を収め、200万人の雇用を生み出した。
だから、マフィアは「必要悪」のブラック企業!?
《な訳はあるまい》
冗談じゃない!!
冗談がキツイぜ!!