「凶悪戦士と人類、初めての闘い」プレデター ザ・プレイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
凶悪戦士と人類、初めての闘い
“ライバル”との“vs”も含めると、これで通算7本目。
凶悪残虐な異星人ハンターであり、誇り高き戦士。
屈指のSFキャラ、プレデター。
今尚人気を誇り、スパンを置いて製作され続けているが…、つまらなくはなかったが、前回の『ザ・プレデター』でそろそろ限界かな、と。レビューでも“プレデターも闘いを終える時が近い”なんて書いたし。
2022年のこの新作は、昨今お馴染みの前日譚。配信オンリー。
この人気シリーズも本当にそろそろ…いやいや、第1作に匹敵するほどのスリルと気合いに満ちたシリーズでも格別の一作になっていて、驚き!
プレデター、初めて地球に降り立つ。時は18世紀。
目的は戦士としての通過儀礼や狩り。サバイバル試練。
オオカミやクマなど獰猛な動物と闘う。敵ではない。
程なく目的達成出来るだろうと思っていたら、思わぬ敵がいた。
プレデターが初めて対した“奴ら”は、シュワちゃんじゃなかった…!
ネイティブ・アメリカンのコマンチ族。
まだまだ文明未発達で原始的な種族。宇宙の高文明の武器に原始的な武器で挑んでくる。
ほとんどが相手にならず、瞬殺だが、戦士の一面もある。
中でも最も偉大な戦士のタアベ。恐るべき未知の敵から血を流させる奮闘を見せる。
そしてもう一人…。
タアベの妹、ナル。
治療師の傍ら、兄のような戦士になる事を夢見ている。
“何か”の存在と異変に最初に気付いたのもナル。
空を飛ぶ謎の物体。ナルはそれを“雷神鳥(サンダーバード)”と思うが、プレデターの宇宙船。
皮を剥がされたバッファローの死骸。村では戦士がライオンに襲われ、それもライオンの仕業と皆は言うが…、違う。ナルはライオンより恐ろしい“何か”の存在を感じ取る。
そう書くと勇猛果敢な戦士のように思えるが、実はナルはまだまだ半人前。
兄らと共に仲間探しとライオン狩り。ライオンに襲われ、兄に助けられる始末。足手まとい。
証明しようと愛犬を連れ立って旅へ。底無し沼に落ちたり、グリズリーに襲われたり…。
バッファローを殺したのはフランス人の狩猟グループ。捕まる。
そこをプレデター襲撃。フランス人グループは殺されるが、ナルは生き残る。また後々遭遇した時も。
対する力を持っていた…? 運が良かった…?
ただ“敵”と見なされなかっただけ。
プレデターが闘うのは、戦意や敵意がある者だけ。非武装や怪我人は襲わない。
いずれの時もナルは沼にハマっていたり、縛られていたりと無抵抗。だから敵と見なされなかった…いや、無視された。
まあそれに、恐ろしさもあっただろう。最初は何も出来ない。逃げ隠れるのみ。現代人の我々がプレデターに遭遇したって恐ろしいのに、この時代の者たちにとっては“怪物”か“悪魔”。無理もない。
が、戦士を目指す者にとっては屈辱。自らの弱さ、敵に無視された事。
このままおめおめと引き下がるナルではない。死闘の末、兄も殺された。たった一人残ったのは、私だけ。恐るべき難き“奴”を倒す。
ナルの中の“戦士”が目覚める。
敵ではない、弱いと思われているなら、それを強みと武器にするまで!
基本ジャングルで少人数、最後は一対一のイメージ。
でもそれは第1作と『プレデターズ』くらいで、都会や街中が舞台だったり、チームで闘ったり。
本作は基本設定を本格的に踏襲。
森の中、闇夜、霧の中…。
姿を消して忍び寄る。気付いた時には、もう…。
一人、また一人と殺されていく。
殺し方も残忍。お馴染みのレーダー照準、串刺し、斬首…。
本作のプレデターは原点回帰のとにかく凶悪。デザインや武器や装備もまたおニュー。
マスクを外した顔は長い牙が特徴で、シュワちゃんの言葉を借りるなら、醜い奴だ。(←誉め言葉)
バイオレンス描写もなかなか。
それらがあってのプレデター。見世物的な“vs”とは訳が違う。
対するナルを演じるアンバー・ミッドサンダーはネイティブ・アメリカンの血を引く。
タフさ、強さ、カッコ良さの熱演の中に、美貌や魅力も光り、今後の活躍に期待。
『10 クローバーフィールド・シーン』の新鋭監督作で、見えない何かの恐怖は通じるものがある。次は『ツイスター』続編の監督候補に上がっているとか。
シリーズでは間違いなくベスト級。でも…
意地悪な『AVP2』ほどではないが、暗いシーンがちと見えづらかった。
シリーズお馴染みや彷彿させる要素はあるが、リンクネタはほとんどナシ。はっきり分かったのは“血を流せるなら殺せる”の台詞くらい。ファンなら色々気付いたかもしれないが。
それから、ラストの決着。何がどうなってああ倒したか最初分からず。後で調べたら、プレデターのマスクの特性を利用したんだとか。私がその辺気付かなかったせいか、ちょっとだけ盛り下がった。
プレデターと人類の初めての闘い。
勝者は…
これを機に、プレデターは地球を“要注意惑星”とし、幾度の襲撃が始まったのかもしれない。
因縁と闘いの始まり。
次は…!?