配信開始日 2022年8月5日

「原点回帰という訳か」プレデター ザ・プレイ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5原点回帰という訳か

2022年8月6日
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ディズニープラスで封切られた「プレデター」最新作、その名も「PREY」。獲物を意味する言葉だが、過去スピンオフと合わせて計6作品製作された人気シリーズである。B級路線をある程度踏襲しつつ、壮大なテーマの物語だったが、そのストーリーは紆余曲折。「プレデターズ」(10)「ザ・プレデター」(18)はそれぞれ新たな試みに挑むものの、興行的には成功したとは言えない。配給元のFOXがディズニーに完全買収された後に製作された初の最新作ということもあってか、原点に帰る形で蘇った様だ。 ストーリーは「プレデター」そのもの。もはや説明不要だろう。最近はユニバース化する作品が多く、また、複雑な物語になる傾向も強く、それが過去作のシリーズ最新作でも反映されるとやや悲しくなってくる事もしばしばだが、純粋に「プレデター」を楽しむ事が出来た事には大いに満足している。

今までと違う点とすれば、1700年代諸島のグレートプレーンズが舞台だと言う事と、原始的な暮らしをする部族の若い女性が主人公となる事だろう。このシリーズと言えば、筋肉男達の汗水垂れる肉弾戦と銃撃戦が目玉の、むさ苦しさ満点の映画だった。シュワちゃん主演の第1弾のイメージはそのまま継承されていたのである。しかし、女性が主人公の本作は、監督の嗜好と相まってとても綺麗。画面から伝わる汗臭さや泥臭さが無い綺麗な本シリーズは今まででは想像もつかなかった。本作では、豊かな自然と原始的な暮らしをする人々の伝統、そこに飛び散る鮮血というそれぞれのアクセントが上手く合わさっている。「10クローバーフィールド・レーン」のダン・トラクデンバーグは人間以外の物を恐ろしく、勇ましく、格好よく描くのご得意なのだろうか。木の枯れた霧の立ちこめる大地でプレデターの背後を撮るショットはかなり痺れた。

本作のプレデターには大きなデザイン変更はないが、武器が原始的なのはツボだ。お馴染みのフュージョン・カノン等はその原型の物が登場する。しっかりと自分で傷を直すシーンもあり、狩人としての気品や気高さを確認できる。序盤から熊にボコられたりしながら怪我を負うシーンもあり、ファンとしてはいつも心配になってしまう。どうせ倒されるんだが笑。ここから両者共に文明が進んで行ったと思うと第1作をまた見返したくなって来る。正直、シリーズ物は第1作が最も良いと感じるのはもはや宿命だろうが、本作は第1作に次ぐ良作だろう。このまま地固まる様に進んでいって貰いたいものだ。

Mina