「カートゥーンの魅力を再認識」チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カートゥーンの魅力を再認識

2022年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

往年のカートゥーンキャラクターコンビが、1人は「CG手術」を受けて立体的なCGキャラクターに、1人はカートゥーンのまま暮らして保険会社のセールスマンになっていた。生身の人間と架空のキャラクターたちが共存する「ロジャー・ラビット」的な世界観を舞台に、失踪したかつての仲間を救うために再会し、人間の警官とともに事件に立ち向かう、という筋書き。
カートゥーンの人気はなくなったからCGで全身手術をするというのは、皮肉が効いているというか、なんというか、とにかくユニークなアイデアだ。これによって実写、CG、カートゥーンの3パターンの存在が一同に集まる奇妙な映像空間ができあがった。CGとカートゥーンのアニメーションはやはり全く別物なんだと再認識した。どちらが優れているという話ではなく、別の魅力を持った映像表現なんだと、この作品は主張しているかのようだ。CGアニメーション全盛の時代だが、アメリカでもかつてのカートゥーンの魅力を再認識する動きが活発になってくれると嬉しい。実写共演の「トムとジェリー」もあったことだし、懐古趣味を超えて、新たにカートゥーンの魅力を追求する作品がでてきてもいいのではないか。

杉本穂高