「もっと断捨離してたらパラダイスかな」断捨離パラダイス 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
もっと断捨離してたらパラダイスかな
なんとなく気になっていた作品をたまたま観る機会に恵まれたので鑑賞しました。
で、感想はと言うと…まあまあ。
ミニシアター系の作品としてはしっかりとまとまってはいるんですが、全体的にほんわかとした雰囲気でまとめられている。
勿論それが悪い訳ではないけど、ゴミ屋敷とそれを清掃する専門業者と言うなかなか刺激的で美味しい設定が正直活かしきれてないかな。
主人公の律稀を通じて見た清掃業者「断捨離パラダイス」への依頼者の様々なエピソード6部で構成され、いろんな関係性もある。様々な事情を抱えた依頼者は勿論、断捨離パラダイスの従業員も個性的な面々。
でもそれが薄味なんですよね。過剰な描写はいらないにしてもここまで荒れるにはその理由があるし、ゴミの下に隠された現実はかなり生々しいはずなのにそれが薄い。
特に岸田万莉子の回にあった出ていった猫の結末なんて普通は気付くだろうと思うし、住居人の鼻が慣れきってしまったのなら清掃に来た律稀達が部屋に踏み込んだ際にその異変に気づく何かがあっても良い筈。
第2篇のシングルマザーの青原明日華の回や第4篇の孤独な独居老人の泉谷しげるさんが演じ金田繁男の回なんて、バックボーンが面白いだけにもう少しいろんな刺激は仕掛けがあっても良かったかなと。
第3篇のボン・デ・グスマンの回はショートながらにも良い感じでまとめられているだけに惜しい。
ゴミ屋敷とまでは行かずとも、部屋が足の踏み場が無いほどに散らかっていて、その中で寝起きすると言うのは多かれ少なかれ普遍的にあると思う。勿論他人が家に遊びに来た時は綺麗にしているが実は普段は…なんて言うのは正直珍しくもない。
普段の部屋の散らかりなんて人に見せるものではないし、その散らかり具合を良しと思うのは人それぞれ。
勿論綺麗に越したことはないし、出来ればスマートに綺麗な部屋に暮らしたい。でも散らかる理由も様々。
それを専門に清掃する業者のお話なんて、「ザ・ノンフィクション」ばりにめちゃくちゃ面白そう。部屋が散らかってもう自分では片付けられないところまで行く葛藤や性格を垣間見えるだなんて野次馬根性が疼くじゃないですかw
でもそれがあまり活かしきれてないのが惜しいんですよね。
もっと様々な葛藤や赤裸々な理由をあからさまにして、人生の恥部を見つかってしまってもそれをテヘヘと笑ったり、そこに悲喜交々をもっと交えて欲しかった。だから細かい部分で?と思う部分もスルーされていて、淡々と進む割に中弛みが感じられるんですよね。
勿論個人的な一意見ではありますが、ちょっと期待してた分ハードルが上げてしまったのかな。
その辺りをもう少し「お茶ちょうだい」な感じですw