劇場公開日 2022年2月25日

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「SIA初監督作品は私を生きるためのファッショナブルな人生讃歌に」ライフ・ウィズ・ミュージック たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0SIA初監督作品は私を生きるためのファッショナブルな人生讃歌に

2022年1月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

幸せ

何作品分の喜怒哀楽を観ただろうか。自己肯定感を高めてくれるようなパワーメントムービーであり、ファッショナブルな人生讃歌だっ!

自閉症の妹を見ていた祖母が亡くなったことで、アルコール依存症の姉であるズーが面倒を見ることに。前途多難も、エボなどの周りの人に支えられながら少しずつ進んでいく。しかし現実はそう甘くなく…。

仮面を被ったアーティスト、SIAが原案・企画から脚本、監督まで…アーティスティックな才能を映像に落とし込み、書き下ろされた曲と共に彩られていく。その個性を放つ映画かと思いきや、割と現実的。だからこそ、音楽のパートに喜怒哀楽が詰め込まれており、爆発するような感情の可視化がなされている。そこに伴う自己肯定感がなんともたまらない。装苑のような、特徴的で華やかな服に見を纏いながら気持ちを乗り越えていく姿は魅力的だ。

他にも要素は複合的かつ現実的で、養子縁組であったりアルコール依存、社会復帰など…それら手を取り合うからこそ見えてくる循環がある。その希望を指し示す様な音楽には他の映画には例えがたい世界観と救いがあったと感じた。

もともと自分を持っている人、それを表現できる人が好きなので、今作はそれが溢れていたかな…と思う。多様性などと謳われる今、誰かに寄りかかれる幸せに甘えてみるのもいいのだと感じられる良作だ。

たいよーさん。