「母親の毒親ぶりには呆れるが、ここぞという時の父親のアドバイスにはグッとくる」私ときどきレッサーパンダ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
母親の毒親ぶりには呆れるが、ここぞという時の父親のアドバイスにはグッとくる
母親に支配されていた娘が、束縛から解放され、自立していく物語であるということはよく分かる。
ただし、いくら「毒親」であることを強調したかったのだとしても、娘が描いた恥ずかしいイラストを男子たちに見せつけたり、生理用品を持って娘の学校に押しかけたり、娘の素行の悪さを友達のせいにして責め立てたりと、あまりにもデリカシーがなく自己中心的な母親の言動には呆れるしかない。
後に、そうした過干渉は、感情をコントロールできなくなった娘がレッサーパンダに変身することを察知するためであったことが分かるのだが、母親にも思春期の頃があったはずで、どうして、自分の言動が逆効果にしかならないことに気付かないのかと、不思議に思えてならない。
そもそも、昔、悪党を追い払うために祖先が変身したのが、虎とか熊とかではなく、あまり戦闘力が高いとは思えないレッサーパンダであったということも、どうにも腑に落ちない。モフモフの可愛らしさを追求するのであれば、むしろ、普通のバンダで良かったのではないだろうか?
ただ、そうした違和感を差し引いても、こじらせ系女子の成長物語としては十分に面白いし、コミカルなアクションも存分に楽しめる。
特に、いかにも今どきの13歳を体現したような主人公と仲間たちのキャラクターは微笑ましいし、無口で存在感のなかった父親が、ここぞという時に「自分を受け入れろ」とアドバイスするくだりにはグッときた。
ボーイズグループのコンサート会場を舞台にしたスペクタクルの中で、3代に渡る母娘の和解が描かれるクライマックスも、予定調和ながら、良くできていると思う。
考えてみれば、レッサーパンダへの変身能力は、これをコントロールできるのであれば、変身時の爆発力を利用して空も飛べたりする訳で、一種のスーパーヒーロー映画として、シリーズ化もできるのではないかと思ってしまった。