母性のレビュー・感想・評価
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母性とは何なのか?
母性とは何なのか?
「娘を愛せない母」と「母に愛されたい娘」2人の半生を過去を振り返るかたちでそれぞれの視点から描いている作品。
同じ場面でも、母の視点と娘の視点では全く異なるように映る。思い込みや記憶の曖昧さ、それが愛情に関することだと不気味さを感じるなと思いました。
あと主旨とは離れてどうでもいいことなんですが、ルミ子の母が自殺した後、ルミ子が清佳を引っ張り出すシーンで「届くの??」と物理的な位置関係が気になってしまった 笑
ストーリーは、私が男ということもあり、母娘の物語という点であまり共感できませんでした。ミステリー要素も特にあるわけではなかったので、あまり自分には合わなかったかなというのが正直な感想です。
その言葉が刃になる
原作未読ですが、
湊かなえ原作のドラマや映画は無垢な子供に責任を負わせる悲劇がいつも興味深いので気になって鑑賞。
絵に描いたようなメルヘンなお家での生活と高畑淳子御殿との対比がよかった。
そして、淡々と描かれていく母の狂気。
わざとらしく狂った描写やセリフがないので、白けない…ある意味安心して見ることができます笑
娘が初めて帰宅が遅くなった日の涙の理由が、
なんだ父親か…母親か…えっそっち…やだそんな思いつめないで〜!と涙なしには見れない、、
あと、父親とその相手の嫌な感じが絶妙。
実の子に「不憫で見てられない」と他人事のように見切りをつける父と、
子供相手に必死になり、
それを聞いた子供がどんな思いを抱えて生きていくのかなど考えもせず、
簡単に傷つけられる真実でぽろっと突き刺す女と。
自分のことしか考えない大人がよく描かれていた。
それを聞いて謝る娘の涙に苦しくなるほど泣ける。
最後、娘が名前を思い出すシーンは小説ならではの言葉だと思ったけど、
本を読んでいる瞬間をそのまま持ってきたともいえる、
ジェンガの真ん中を抜き取ったときの倒れる前の静けさのような、引き込まれる一時だった。
ちょっと不服なことをあげると、
エンディングの曲が違ったら、もう少しもやっとした感覚を残せたのではと思ってならない…そこは感動映画でした雰囲気出さないでよかった…
母性という呪い
これは、ミスリードどころか完全な予告詐欺のレベルです。
序盤でいきなり大人になった永野芽郁が登場し、挙げ句に自殺した女子高生の話をしてる。
これも伏線で、何かしらの捻りが入るのかと思いきや、そんなこともなく。
あれは絶対、終盤まで出しちゃダメなやつだと思う。
戸田恵梨香による2パターンの演じ分けや、高畑淳子の老衰した喋り方などは目を瞠るものがある。
中村ゆりは、どうしてもラ行の滑舌が気になるが、その他の演者は良かった。
母の“つもり”と娘の“感じ方”の違いという部分で、小説では視点を変える必要があったのだろう。
でも映像なら、そして戸田恵梨香と永野芽郁なら、芝居でそれを表現できたんじゃなかろうか。
筋立てに影響を与えるほど効果があったようにも思えないから、余計にそう感じる。
深く考えず、そのまんま映画化した印象です。
呪いとも取れる『母性』の連鎖に空恐ろしさも感じ、田所家のそれとの対比も興味深い。
ただ、メディアの違いが活かされていないのが非常に残念でした。
『母性』は愛の性質ではなく、特質に入る?!
戸田恵梨香さん演じる『母』はお嬢様育ちでお母さんへの愛情が強く物事の判断が全てお母さんの感性で決めていた。結婚相手に関しても、趣味の絵画教室でたまたま一緒の男性の絵をお母さんの意見をもとに気に入り、結婚を決めるほど。いわばお母さん依存症。
永野芽郁さんはそんな『母』の『娘』を演じる。娘は上記の特質を持った母が育てるため、祖母が喜ぶことを母が望むみ、それをなす生物共生の関係である幼少期を迎える。
ある日嵐が原因で家の周りにある樹木が家を襲う。たまたま家に泊まっていた祖母と一緒に寝ていた娘の部屋に樹木が入ってきてしまい、箪笥の下敷きに。別室の母は家が引火している中、半開きで固定された扉から祖母を助けようとするも、娘より祖母を助けたい母に対し、母に娘を助けるよう指示する祖母の入れ違いが生じ……
物語は大きく3構成に分かれており、母親のサイド、娘サイド、母娘混合となっている。各サイドでは基本同じ構成の回想シーンであるが母、娘互いの見え方がズレており、見どころである。最終章では家が焼けた後の、夫の実家へ義母と未婚の妹との生活の内容になる。
やっぱ湊かなえさんの作品描写は、なんというか日常生活を送る私たちの痛いところを突いてくる。人間の他者への愛は備わったものとは限らず、むしろ親や友人など他社からの刷り込みが原因で成り立っている。愛という言葉はある意味何にでも姿を変えられる曖昧な性質であると思いました。そして今作の中核『母性』はその性質の中でも特に異質な感情なのかと思いました。
俳優陣の演じもさることながら特に文句のつけようがないです。戸田恵梨香さんはじめ、義母の高畑さんもかなりいいお芝居でした。
邦画ならではの小さいフィードに対して、かなり濃く深い、根が太い物語です。あと個人的ですが、もう少し母娘の入り違い幅があったら、又はそれにちなんだエピソードが増えると見ごたえあると思いました。
母と娘、深い関係
戸田恵梨香と永野芽郁と言うと人気のTVドラマがあったが、いつもの事ながら…。
でなくとも、綺麗で可愛くて実力もある二人の共演は惹かれるものあるし、何より湊かなえの小説の映画化。いつまでも『告白』級を期待するのは酷だが、それでもやはり期待してしまう。
この秋、実は結構気になってた邦ミステリー。
だけど本作、ドラマファンは勿論、湊かなえ印のミステリーとしても、アレ?…と思うのではないか。
勝手に先入観を抱いてしまった方も悪いが、本サイトの的外れの解説も悪い。
女子高生の首吊り自殺遺体が発見され、これが永野芽郁。
発見したのは、母・戸田恵梨香。
事件は何やら謎めき、この母娘の間に何があったのか…?
食い違う母の証言、娘の証言。真実は衝撃と大どんでん返し…。
…っていう、THEミステリーだと勝手に思い込んでいた。
そもそも自殺した女子高生は永野芽郁ではない。あくまでこの事件は本筋へのきっかけ。
この事件を知った永野芽郁演じる若い女性が、自分と母の関係を回想していく。
母の証言と娘の証言と二人の証言から。
戸田恵梨香演じるルミ子。お上品なお嬢様。時代設定は定かではないが現代ではなく、昭和後期辺りか。
出会いがあって、結婚。娘・清佳も産まれる。
お洒落な家で絵に描いたような幸せな暮らし。
が、ルミ子から幸せさを感じられない。夫や娘と触れ合っていても。
彼女が幸せを感じる時。それは、実母といる時。
男だったらマザコンと言う所だが、この母娘の関係性は何と言うのだろう。
とにかくルミ子の実母への愛が異常なほど。母を愛し、愛され、喜ばれ、奉仕するのが何よりの幸せ。
一方、自分の娘に対しては…。妊娠した時、お腹の中の生き物が私の血肉を奪い、お腹を破って出てくるなんて言うからして、自分が母親になるなんて思ってもなかったよう。
実母は初孫の清佳を愛してくれる。それに嫉妬すら滲ませる。市販のプレゼントが欲しいと言った時、実母お手製のプレゼントが拒まれているとさえ思い込む。
私は永遠に母の娘。それは確かにそうかもしれないが、度を過ぎている。
特に驚愕したのは火事のシーン。タンスに挟まれ、身動き出来ない実母と清佳。ルミ子が助けようとしたのは、実母。子供は死んでもまた産める。お母さんはお母さんしかいない。…いやいや、娘だって同じ娘は産まれない。
助かったのは清佳の方。記憶が朧気。
しかしこの時、衝撃的な事が…。
これ以降、母と私の関係は…。
夫の実家に身を寄せる事に。
義母は口うるさく陰湿な鬼姑。ルミ子には冷たく当たり、こき使い、清佳にも厳しく、自分の娘には甘い。
高校生になった清佳は意地悪な祖母や堪え忍ぶ母に疑問や不満。
母を庇おうとして祖母に口答えしたら、母から叱られる始末。
もっとおばあ様を敬いなさい。
実母を亡くしたルミ子の母親への献身は、義母へ。
あからさまに嫌われ邪険にされても、尽くして尽くして尽くし尽くす。
一方の清佳も母の愛情を欲す。母の教え通り誰かに親切にするが、母からの心底の愛は…。
義母の実娘が駆け落ちして家を出た事から、家の中の雰囲気はさらに険悪に。
助け船すら出さない夫。そもそも結婚当初から愛情はあったのか疑問。清佳は父の浮気を知る。浮気の理由は、堪え忍ぶ妻の姿がしんどいから。
清佳は火事の時何が起きたか知る。私を助ける為、祖母が…。
あるシークエンスが、ルミ子の証言と清佳の証言では食い違う。ルミ子は娘を抱き締めたと思い、清佳は母に首を絞められた、と。
先入観で抱いていたミステリー要素でここがポイントかなと思ったが、そうでもなく。
主軸は、愛憎渦巻き、息が詰まるような母と娘の関係。
“イヤミス”の女王と呼ばれる湊かなえ。本作はイヤミスらしいイヤミスではないが、それとはまた違う心地悪さがあった。
本作には様々なタイプの母や娘が登場する。
聖母のような愛溢れる母。それ故に、娘はその愛を異常に欲し…。
ステレオタイプのような意地悪姑。しかしあるシーンでのルミ子への叱責に、ルミ子より母親らしさがあるとも思わせた。
実母を愛し、我が子を愛せない母。いつまでも誰かの娘でいたい。
そんな母との関係や愛に苦悩する娘。大人の顔色を窺う。
戸田恵梨香のくたびれ感や内に秘めた複雑な感情、永野芽郁の純真さ、大地真央の愛情深さ、高畑淳子の強烈インパクト…女優陣の熱演/怪演は見応えあり。
清佳の少女時代の子役は、ひょっとしたら永野芽郁以上の巧さ。
本当に何度も忠告するが、事件絡む本格ミステリーを期待してはいけない。
期待外れとかつまらなかったとかではないが、どうしても拭い切れぬ思ってたのとは違う…。
おそらく、男が見たらいまいち分かり難いのだろう。ましてや妊娠などしないし。
女性だったら抉るほど何か感じ、響くのかもしれない。
その監督に廣木隆一はちと合わなかった気がする。作品にムラがあるは元より、女性を主人公にした作品は過去にあっても、本作の描くテーマとはまるで違う。それに、サスペンス/ミステリーにも乏しい。
本作が女性監督だったら、例えば男女の主人公問わず人を深く描く演出に長ける西川美和監督とかだったら…?
女性ならではの視点で、おそらくまるで違う作風になっただろう。
劇中の印象的な台詞。
女には二種類いる。母と娘。
母でいたいか、娘でいたいか…?
誰かの娘として産まれる。愛される。妊娠/出産し、今度は自分が母になる。愛す。
ここが本作の要だろう。湊かなえが“これを書けたら作家を辞めてもいい”とまで言った突き付けたテーマ。
単純な男とは違う女性の心情。
母性とは何処から来るのか。持って生まれたものか、育まれていくものか。
父性なんかよりずっと深い。
母性とは深い。
共感まではできない。
同時期に公開された「ある男」と「母性」。
両方とも家族の内面をえぐり出すような内容であるが、軍配は「ある男」かな。
自分が男だから母性を汲み取れなかったのも原因かもしれない。
愛情が祖母⇔母←娘 という構図で進んでいく。愛情のかけ方が過剰になると、その喪失は母の無関心や攻撃にもなっていく。その怖さがどのシーンにもにじみ出ている作品。
母性
人の娘でもあり、人の母でもあるので公開前から気になっていた映画。
母娘それぞれの視点からそれぞれの抱く思いを観ていくのはとても考えさせられました。母の想い、娘の想いどちらにも共感が出来、どちらの苦悩にも納得できました。
いつも認めてくれる、欲しい言葉以上の言葉をくれる大地真央演じる実母の喜ぶことをしたいと思う戸田恵梨香演じるルミ子。
ルミ子のやること全てが実母を喜ばせることに通じていて娘時代はそれはそれは幸せそうな…。交際や結婚も自分の印象や想いではなく実母の評価で180度考えを改める。並の娘ではありません。永野芽郁演じる清佳を授かるも自身が母になることを受け入れられない。出産も母を喜ばせるため、だから生まれてからも清佳が実母を喜ばせる行動は褒め称え、そう行動するように教育していく。
総てにおいて実母が中心に居るかのような行動に異常性を感じましたがそこが良かった。
目上の人に認められたい、喜んで欲しい。この気持ちが痛いほどわかります。私自身そんな子供時代を過ごした記憶が呼び起こされました。
娘の清佳に対してルミ子目線では優しく、諭すように、道を示すように語りかけて育ててきた。そんな視点がなんとも辛い…
その後、自宅での災害で実母が亡くなるとルミ子の心の安寧がなくなり、更に清佳との心の距離が離れていく。
第3者として端から観てると何故清佳の気持ちに気がつかない?と思われるシーンも当事者ともなればこうなるのかもしれないと思わせる戸田恵梨香の演技に私はすっかり引き込まれてしまいました。幸せな娘時代、穏やかな新婚生活、災害をきっかけに荒んでいく容姿疲れきった姿それでも自分の置かれた環境に順応しよう、お世話になっている高畑淳子演じる義母に認められよう、好かれようとしている姿にルミ子とはこういう人間なのだと見せつけられました。とても良かった。良いか悪いか正解や間違いではなくルミ子は一つ芯の通った人間だと。
一方ルミ子の娘、清佳。清佳からすればおばあちゃんである大地真央は無償の愛を与えてくれる存在。しかし大好きな母(戸田恵梨香)は…言葉を繋げないところに幼いながら感じるものがあったのでしょう。母が何をすれば笑い掛けてくれるか、どうすれば優しく接してくれるか、母が大好き過ぎた故に感情を汲み取りすぎたのか母の顔色を伺う子供へとなっていく。
子供の頃にはよくありがちな自分の考えが大人には伝わらない現象。私も子供時代には何度かありました。大人になってからあれは…と思い返せますが、その時は何故母の機嫌を損ねたのかわからない時があったりもしました。映画では小鳥の刺繍とキティちゃんが描かれていてとても共感できる部分でした。このシーンでルミ子が絶望したかの様な驚きの表情と手元から誤って落ちてしまう弁当箱、打って代わって清佳の回想でのルミ子鬼の形相と叩きつける行動の違いに双方の主観がこの差を生んでいるのだろうと思われます。
おばあちゃんが亡くなってからの清佳もまた苦労の連続。母が話を聞いてくれるとかわいそうな同級生を助けてあげた話したり、住んでいる田所家の祖母から酷い仕打ちを受ける母を助けようと口論になったり。「かわいそうな子は助けてあげなさい」の母の言葉に従い従姉妹を助けてあげたら…。
やること為すこと全てが裏目にでる、どうして母は喜んでくれないのか、愛されないのか、どうすれば、何をすれば。娘の清佳の気持ちも痛いほどわかります。やはり母を追い求めてしまうものなのでしょうね。その根底にはただ愛されたい。清佳の愛とは撫でてもらうや優しく微笑んでもらったり話を聞いてもらったり。そんな小さなことで良かったのでしょう。自分が幼かった頃思ったことと一緒でとても切ないです。
どこまで行っても愛がすれ違う母と娘。
辛い。どちらもどちらの視点もその立場ならそう思うのではないのかと納得してしまう。ただ辛い。どこまで行っても辛い。
しかし、ふとルミ子がこうなってしまったのは実母のせいなのでは?と思ったり。極度のマザコンでしたから…中々娘のマザコンはいないです。
ルミ子にしても清佳にしても母を求めていました。まるで呪いのように。だからこの作品は私にとってはとても良く、母と娘の見えない関係を形にしてくれた素晴らしい映画でした。清佳も映画終盤母になろうとしていました。清佳はどんな母になるのか?良くも悪くも実母の教えは引き継がれます。そして自分がして欲しかったことをしてあげたくなりもします。子供の頃の自分を慰めるように。
私も母としてそうです。他の方はどうかわかりませんが、この作品は自分の事を描かれているような錯覚を起こし、感情移入の激しい作品でした。辛くしんどい内容ですが、心に余裕と力があるときならば呑まれることなく観れるのではと思います。
1つだけ気になったのはルミ子の懺悔の時の最後、私が間違っていたと言った言葉が引っ掛かり原作を購入しました。
その事に関しては原作になかったので映画のオリジナルかな?と思っています。
感情移入出来なくても惹きつける力
感情移入出来る登場人物が
殆どいないのに惹き込まれる作品の力。
ホラーでは決して体験出来ない
人間の残酷さを丁寧に届けて頂きました。
もし自分が当事者だったら
二度と母親とは思えなくなる
ルミ子役戸田恵梨香さんの
完全にアウトな発言や行動。
でも理解も納得も出来てしまう。
それが人間。
本作で唯一圧倒的な陽を纏う
母親役の大地真央さんを観ながら
湊かなえさんとは真逆な性格のキャラ?
そんなことを思ったりしました。
瀬戸の花嫁
時代ははっきりとはわからなかったが、ルミ子と言えば「瀬戸の花嫁」。ヒットしたのが1972年。同じ年には映画『母性ドン・アドベンチャー』もヒットした。すみません・・・想像では新婚時代は1972年頃でしょうか。
母であるルミ子(戸田恵梨香)と娘である清佳(永野芽郁)、それぞれの視点から過去のことを語る手法。とは言え、予想していた展開とは違い、二人ともほとんど真実を示していたような気がします。母性とは何か?自分が産んだ子なら何がなんでも守るといったこと以外に、本能的ではなく後天的で学習するものじゃないかという疑問も投げつけてくる。
お嬢様育ちだったルミ子がバラの絵を通して田所哲史と知り合い結婚。ほどなく清佳が誕生して、森の中の一軒家で幸せな家庭を築くのだが、ある事件が・・・といった過去映像。母親(大地真央)を愛し、娘・清佳にも祖母に気に入られるように教育するという異常な愛。娘よりも母親が好き?といった関係は興味深いけど、違和感ありすぎてついて行けない。
そんな新婚時代の風景はまるで童話の世界。壁や衣装などがパステルカラーで、絵画や小物が対照的でリアルに浮かび上がっている。どことなくティム・バートンの世界。中島哲也監督でいえば『告白』というより『パコと魔法の絵本』の雰囲気だ。会話も何か不自然さが目立ち、英語を直訳した日本語のような気がした。
結局は田所の実家に世話になることになった家族だったが、ここではキツい嫁姑問題が溢れていた。義母となる高畑淳子の異様なまでに嫁をこき使う姿は昭和のドラマそのもの。夫が助けてあげてもいいのにと思って見ていても、彼は徐々に空気のような存在に。長男哲史よりもその妹・律子(山下リオ)に愛情を注いでいる様子も異常だ。学生運動やってたり、父親に反抗できない性格だったことが原因なのだろうか。
まぁ、イヤミスの女王の作品なので期待していたけど、驚愕するほどの展開じゃなく、拍子抜けしてしまいました。母と娘の視点で語られながらも、ルミ子の親友(中村ゆり)の視点というか台詞からの方が面白く、そこまでお嬢様扱いされていたんだとビックリ。また、飲んでいた居酒屋が律子の店だったという意外性もあった。個人的感想としては、抱きしめたのか首を絞めたのかという食い違いよりも面白かった。そして、一本調子で怒ってばかりの高畑淳子さん。最後には素晴らしい演技で締めてくれた。
歪んだ「母性」の辿り着く先にあるもの。
原作は未読です。
予告編の映像で、ミスリードを問題視する方も多いのでしょうが、私はトリッキーな演出だと肯定的に受け止めました。
戸田恵梨香(母親)✕永野芽郁(娘)の設定は、鑑賞する前はやや無理があると思いましたが、物語が進むにつれて違和感は無くなりました。ですが、今回は高畑淳子さんの怪演に全部持っていかれたような気がします(笑)
イヤミスの女王・湊かなえさんは、心の闇を深くえぐる、ヒリヒリした作品が多い印象ですが、今回は現実的ではない、ファンタジー色を極力排除し、リアルなヒューマン作品に仕上げました。
物語は、終盤に語られる「母性」の正体が明かされた時に、私は胸が張り裂けそうな切ない気持ちになりましが、奥に潜む、深すぎるメッセージを読み解いた時に、優しい涙が溢れました。
本作品は、確かにミステリーではないかもしれません。ですが、それだけのことで作者の名誉が傷つけられるような、柔い作品ではないと思います。
個人的に高評価の理由
ストーリー展開の構成がよくできた脚本で見応えありました。
ちょっと異常なまでに母親に愛されたい、好かれたい、褒められたいと願う娘(戸田恵梨香さんと永野芽郁さん)の心情をある程度理解ができるかどうかで、この映画の評価が変わる気がします(きっと、理解できない人の方が多いでしょう)。
僕は身近にそういう人がいてずっと見てきたので、このふたりの心情が共感はせずとも理解はできるので、評価が高くなっています。観ていて胸が締めつけられました。
ベテラン女優おふたりの演技が素晴らしいのはもちろん、戸田恵梨香さん、永野芽郁さんも、とても良かったです。
イヤミスの女王が書く母モンスター
この映画の「母性」は
「母の性質」って意味じゃないかなあ。
子供を護りたいという愛を表現する母性を謳ったイメージではない感じ。
イヤミスの女王「湊かなえ」が書くと母親ってモンスターに近いんだな。
ラストで、娘(義妹)の部屋に入っていくルミ子を見て「やどかり成功!」って思った。
「女には二種類いる、母か娘か」って清佳が言ってたけど、
母・娘・女の三種類だよね。
「女」がいるから友達の夫と知りつつも手を出す……。
女優さんそれぞれが個性的な演技派を揃えてる割には、個性を殺しあってなくて良かった。
戸田恵梨香さんは上手いね。
映像としては色彩が面白く。雰囲気作りと演者さんの演技がうまくて、とても興味深い物でした。
湊かなえさんの作品は夜行観覧車以降既視感が多く、かと言ってクセになるほどの作品ではなくなっていましたが、映画の感想もそのままの感想でした。
母への求めても求めても得られない娘の歯痒さと、与えすぎてしまい、型に嵌めてしまう母親の歪さ。
この作家さんはいつも母と娘への異常な執着関係を(独白)毒吐くのような作品として描きます。
母性とか父性とかって、ネグレクトされていない限り、受け手側の問題でもあるんだと思います。母親も父親もその子の親は初めてやるのです。生まれた時から母親でもなければ父親でもない。だんだんなってゆくものです。そこにすれ違いがあるのは当たり前です。
大地真央さん役の母親が正しく見えても、戸田恵梨香さん役の娘が望んでた形でなければ、強制的に与えられた愛でありそれでも子供はそれを正しいと受け取り、応えようとしてしまう。
また、反対に戸田恵梨香さん役の娘の求める形を大地真央さん役の母親が努力して応えていたのであれば、自殺までした理由も少し頷けます。
与えられた愛を違うと思うことも感謝することも、どちらもまた成り立つということ。どこかで、互いが自立しなければならないのでしょう。それを誤ると悲劇的な関係になっていくのかもしれませんね。
しかし、女性に比べて男性の描き方がワンパターンで薄く、シンプルさと言ったら、笑えてきます。相当影が薄く弱虫としか思っていないか。
興味を持たない父親が実は助けになっていたのか。。。んー、女は2種類とし、母親か永遠の娘かと言ってるあたりを見ると、3つ目の女という選択肢が消えてるので、彼女にとって男性の存在は薄いのでしょうね(笑)
なんかそれもちょっと怖い。
難しかった。
ずっと不気味な感じだった。
最後母親と仲直り?したのは娘も酷いことをされながらも母親に依存していたからなのか?と自分は考えた。
不倫ダメゼッタイ相手を見た時怖くなった。
何年後かにもう一回見ようと思った作品だった。
「触れ込み詐欺」のような…
何にも起こらない、というと言い過ぎかもしれないけれど…やっぱりヤマナシオチナシ感は否めない、湊かなえ作品の感じ。
「母の証言」「娘の証言」の食い違い…から事件を考察していくという映画予告
…え?本編にそんなこと、ありました?
期待してるととんでもなく肩透かしくらいます。
親娘三代の演技力に敬意を払っての評価のみ…。
演技は最高、ストーリーは?
まず初めに、役者の皆さんはマジで最高です!
戸田恵梨香さんも、永野芽郁ちゃんも、そして高畑淳子さんの怪演も最高です!
しかし、テーマとストーリーがなんとも言いづらい…
妙なリアリティが平坦な印象。なんだかんだで丸く収まってしまってドロドロもハラハラも、ミステリー感もない。
結局、ルミ子も
盲目の愛と迷走する小道具
原作未読
母親に愛され愛した女性と、母親に愛されたかったその娘の話。
JKの自殺と思しきニュースをみて、自身もJKの頃に自殺を諮ったことがある教師とその母親の語りにより、過去の家族の様子をみせていくストーリー。
あらすじ紹介や予告編ぐらいの予備知識で観賞したけれど、主人公の娘の自殺は未遂だったんですねというのはわかるOPで、独身の頃からの母親視点での真実、幼稚園児の頃からの娘目線での真実とみせていくけれど、娘の真実をみるまでもなく母親の偏りっぷりが強烈過ぎて…。
旦那はどんどん空気になっていくし、娘はまるでラーフラの様な扱いだし、母親からの愛?に対して娘からの母親への愛?もまた、単純なそれとは違うし…男には理解するのは難しい!?
自殺に関しての結果は解っている状態からのサスペンスなのでそこにスリリングさはないけれど、対象を義母に変えての母親の寄り添い方や、実母を亡くしてなおの娘への愛情のズレとか、娘の思いや葛藤等、心理描写はとても面白かった。
そして母か娘か…女っていうのも結構ありますよね。
全然面白くなかった
完全に予告にミスリードされた。
サイコ系ミステリーかと思ったら全然そんなことない。
いつどんでん返し来るのかと思ったら何もないまま終わった。
連れも久々にこんなつまらない映画見たと言っていましたので多くの人も同じように感じると思います。
予告で内容と変えて煽るってのは自信のなさの表れ?
だったらちゃんと自信あるもの作ってほしい。
そこに愛はあるんかい?
と、言わんばかりに大地真央さんから孫への愛が溢れていた…
それなのに…
それなのに肝心な完全なターニングポイントで大地真央さんが
「この子に愛を注いであげて!」
なんて言うもんだから、思わず笑ってしまったじゃないか!
おかげで戸田恵梨香の愛のない闇覚醒が、
「そこに愛はないんやな…」
って架空の台詞が脳内で再生されてしまった…
高畑淳子さんのドギツい嫁イビりに途中で胸クソ悪くなるけど、娘が駆け落ちで居なくなった後、孫に手を上げようとグッと堪える場面も、人目を憚らない泣き叫ぶシーンは、確かにそこに愛を感じた
でも圧巻はラスト近くの認知症の演技
自分の身内も認知症がいるから分かるけど、あんだけ常にデカい声で怒鳴るような演技の後で認知症の演技を見ると、やっぱり役者は役者なんだと思い知らされた
そして永野芽郁
もうそろそろ高校生の役はキツいと思う
「そしてバトンは渡された」でも、ちょっと違和感あったのに、今作は本当にキツいと思う
戸田恵梨香は闇堕ちが、なんであんなに似合うんだろ?
そんで痩せすぎだから、もうちょい肉を付けたほうがいいと思うよ
面白い映画ではあるんだけど、大地真央さんの一言で笑ってしまう映画
そこが個人的に残念
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