「歴史スペクタクル!と言うわけにゃいかず」大河への道 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史スペクタクル!と言うわけにゃいかず
ワタクシ、長崎生まれです。長崎市出身です。と言う事で、シーボルトには、ちょっと詳しいかも知れません。ほんのちょっとだけですがw
高橋景保だったんですね、中井貴一の役どころって。この方は、シーボルト事件で投獄され獄死した後、改めて死罪の判決を受けています。「大日本沿海輿地全図」の縮図を、シーボルトに渡していたことが発覚したからです。オランダのスパイとする説が、現在は有力なシーボルトは、その地図の縮図に、鳴滝塾の塾生を使って細かな地名を記入させたり、樺太の地図を求めて間宮林蔵に接近しようとしたり(それが命取りとなりバレる)、下関近海の水深を測定させたりと、まぁ、やりたい放題っすよ。
劇中で、「あの地図を見て、欧米は日本を攻めるのを踏みとどまった」と言う趣旨のセリフがありましたが、正しくもあり、間違ってもいます。蘭は、上陸戦は不可能であり、全面侵略は犠牲と利益のバランスからも無意味と考えたと思われます。当時の日本を戦略的視点から眺めるとですね。細長い国土には、100km単位で軍事基地(藩)が設置されていて武装した兵士が配備されている訳です。知的レベルも高い武装国家で、兵力は無尽蔵。攻撃して従わせることは断念するしかない。
ところがですよ。
「攻撃すべき場所」はピンポイントで、無茶苦茶効率良かった訳ですよ。英米は、どこに船舶を近づけて、どこに砲弾を撃ち込めばいいのか。ちゃんと分かって攻撃して来ているとしか思えないと言う。
幕末の歴史、近代日本史に、少なからず影響を与えた、伊能忠敬をはじめとした「伊能組」。その後の展開まで含めて、大河ドラマにしちゃっても面白いと思うけど。
伊能忠敬は地図を完成させていない。高橋景保はスパイへの協力の咎で獄死。と来れば、NHKは嫌うのでしょうか?
いやぁ、絶対、興味深いと思うけど。
映画としてのクオリティは、松竹配給で、プロの撮影集団が撮りました!なんですが。今の日本、セットを飛び出した屋外での時代劇撮影は、多くの困難を抱えていると思われ。苦労してますよねぇ。中井貴一と北川景子の「密会」の場所とか、もう少し、どうにかならんのかとw
ちょっと、ワシ、時代劇のロケーション探しの旅にでも出るわw