「もっと大河と日本地図をシンクロさせてもよかったのでは?」大河への道 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと大河と日本地図をシンクロさせてもよかったのでは?
伊能忠敬本人ではなく、その遺志を継いた人々にスポットライトを当てるという目の付け所が、まず、良い。そして、ただそれを描くだけでは、地味で、つまらなくなるおそれがあるため、大河ドラマという現代劇の仕掛けを用意しているところも、効果を上げている。
ただ、せっかく出演俳優たちが、一人二役で現代と江戸時代の人々を演じるのであれば、大河ドラマの企画の過程と日本地図の完成の過程をシンクロさせて、それらを交互に描いていくといった工夫があっても良かったのではないか。
それから、伊能忠敬の人となりのようなものが描かれないため、弟子たちが、なぜ、命の危険を冒してまで師匠の遺志を継ごうとしたのかが、今一つ伝わってこない。
同じように、伊能忠敬が、なぜ日本地図を完成させようとしたのかが、せりふで説明されるだけなので、すんなりと腑に落ちない。現代劇の方でも、知事が、なぜ、あの脚本家にこだわったのかがよく分からなかった。
素材と作り方が面白かっただけに、ところどころに見受けられる描き込み不足が残念であった。
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