「瀬戸内の島で育つ娘と島の人びとの交流とを描いたハートフルなお話です。この島でなら暮らしてみるのもいいかも、そんな気持ちになりました。」凪の島 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
瀬戸内の島で育つ娘と島の人びとの交流とを描いたハートフルなお話です。この島でなら暮らしてみるのもいいかも、そんな気持ちになりました。
最近、瀬戸内海が舞台の作品に触れる機会が
多い気がしています。 (映画だけではありませんが)
この作品も山口県の島を舞台にしたお話という事で鑑賞です。
両親の離婚をきっかけに母の故郷・瀬戸内の島に
やってきた女の子(原田凪=新津ちせ)が主人公。
小学4年生の凪は、母親・祖母と暮らしている。
母親(本土の病院で看護師) (=加藤ローサ)
祖母(島の診療所の医師) (=木野花)
クラスメイトが2名。 ぽっちゃり君とメガネ君。
凪との関係は良好のようだ。
ぽっちゃり君は母親が不在。訳ありらしい。
メガネ君は島育ちなのに泳げない。
学校には他に6年生が1人と1年生が1人。
全校5名で一クラスです。
先生は若い女性 (=島崎遥香)
一人の先生が全員をみているようです。
島の外(埼玉?)からわざわざやってきたらしい。
用務員が一人。 (=嶋田久作)
子供たちの間でも「笑わない」事で通っています。
この人も過去に訳あり。
ある時から用務員の仕事をしています。
凪には、過呼吸症候群の持病がある。
アル中の父親が母親に暴力をふるうのを何度も目にし
発作を起こすようになった。
両親が分かれた理由もアル中の父親らしい。
発作を起こすと、凪は海に飛び込む。 どぼ~ん
それが発作を静めるのに良いらしい。
※劇中、3回は海に飛び込んでいました。
NGがあったかもしれません。
そうするといったい何回飛び込んだのやら。
そんな人たちの中で、伸び伸びと暮らす凪。
そんな折、凪のアル中の父 (=徳井義実)から
凪にLineで連絡が。
・「学会のため山口に行く」
・「会いたい」
母親に伝えようとするも、しそびれる凪。
そして母親の不在時に、父帰る。 …暗雲?
凪の生活はどうなってしまうのか? どきどき
と
凪の周囲のたくさんの人たちの
過去のエピソードを明らかにしながら
話が進むのですが
お話の組み立てがとても細やかで無理が無く
見ていて優しい気分になれました。
ここまでハートフルなドラマとは
思っていませんでした。
ハートフル好きな方、ぜひ観てみてください。
私は満足しました。
◇ 印象的な場面
「アル中の父親が母親の不在を見計らって娘に会いにくる」
う~ん。 …この時点では
サスペンスドラマ的な展開がアタマに浮かんだのですが
それが一変する場面がありました。
両親の言い争いを目にして発作が起きた凪。
いつものごとく海に飛び込む。 どぼーん。
それを見て自分も慌てて海に飛び込む父。 どぼーん。
しかし
「ぷはっ ぶはっ 」 ぶくぶく
父は金槌…。
慌てて浮輪を投げ込む母。
父の元に泳いで近づく凪。
娘の救出はできなかったけれど
二人の心に飛び込んだ瞬間だったかもしれません。
◇ あれこれ
舞台となった島
どこか知りたくて、公式パンフ購入しようとしたのですが
「パンフレットありません」
「売り切れですか?」
「もともとありません」 ( ! ) えっ
無いものは仕方がない と調べてみました。
「笠戸島」
という島のようです。
※島の小学校は、既に廃校となっているみたい 残念。
父親キラー
新津ちせちゃんです。 ♡
前に観た(「駅までの道をおしえて」)でも
自分のコトが大好きなパパ(滝藤賢一)に
何を聞かれても 「ナイショ」 とあしらって
悲嘆の涙に沈めておりました。
この作品でも、レストランでの食事のシーン。
離婚した母親と元の鞘に戻りたそうな素振りの父に
「私にとってはパパとママだけど、
パパとママは他人でしょ? しっかりしなきゃ」
こんな風に言われたら 人は動きますよねぇ。
船上の結婚式
小舟ではないけれど決して大きくもない船。
その甲板で結婚式を揚げる担任の先生。
このシーンを見て思ったのが
「瀬戸内の海って、こんなにも揺れないんだ」
私の海のイメージといえば
・太平洋の大波
・冬の日本海の荒波 なので
一度は見てみたくなりました。
( ※瀬戸大橋を通る車窓から見たことはあるのですが…)
主題曲
エンディングで流れた曲が
この作品の世界にびったりと合う素敵な曲でした。
kitri(キトリ) という姉妹ユニットの
「透明な」という曲のようです。 (初めて知りました)
もう一度聞きたくなりました。
音楽サイトで検索してみようと思います。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで