「求めていなかったいつかの明日」仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル 椎名亘さんの映画レビュー(感想・評価)
求めていなかったいつかの明日
全部が全部否定に値する映画だとは思わない。
限られた予算と上映時間の中で、説明不足とツッコミ所を多々残しながらも、1本のストーリーとしては出来上がっているし、何より当時のオリジナルキャストを揃えて新作を作ってくれたことは素直に嬉しく思っている。
だがこれがオーズの物語の終着点として受け入れられるかというと話は全く別だ。
およそ10年前、1年もの間、映司やアンクが戦い必死に生きてきた姿をテレビの前で見てきた。フィクションの世界ではあったが、彼らから確かに元気や感動をもらって生きてきた。その結末がこれなのか。
百歩譲ってこれがゲームのエンディングの一つのルートであるならばまだいい。
だがこれは粉う方なき公式が出したオーズの戦いの行く末、その答えだ。
果たしてこの映画を通じて何を感じてもらいたかったのだろうか。
現実は厳しいという事も、楽して助かる命はないという事も痛いほどよく分かっている。
だからこそ、たとえご都合だとしても物語に救いを求める事がそんなに悪いことなのだろうか。
劇場が明るくなった時そこにいた多くの人は、自分を含めかつてリアルタイムでオーズを視聴していたであろう人たちだった。
見渡してみても満足そうな表情の人は誰もいない。
一体この映画は誰に向けて作ったものなのだろうか、今となっては全てむなしい。
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