劇場公開日 2022年3月12日

  • 予告編を見る

「ラストが問題なのではない」仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル ばすたさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5ラストが問題なのではない

2022年3月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

よく「ラストがアレだから批判してる」という意見がでるのですが、ラストがアレだからではないです。
ラストに至る過程もおかしい上に、せめてラストが違えばまだ流せたのにラストで更にアレだからここまで批判されているんです。

オーズの産みの親は小林靖子さんです。
何かと鬱作品の代名詞のような使われ方をしている彼女。
ですが、彼女の作品はオーズや特撮以外のものでも『過程はいくら悲惨でも最後は希望に向かうエンド』なんですよ。

オーズ本編のテーマは欲望。欲望を持っていいのだ、という肯定の物語でした。
最初の主人公の火野映司は空っぽで、自分の命を平気で投げ出してしまう。
自己犠牲は駄目だよ。大きな欲望(夢)も皆で手を繋ぐことで叶えられるかもしれない。諦めず皆で手を繋いで行こう。
と徐々に欲望を取り戻させ、仲間を、自分を、大事にする話。
最終回でやっと映司も気付きましたね。

ところが今作はそれを引っくり返しています。設定も破綻していますが、テーマも壊しました。
ついでに登場人物の成長も無かったことにされています。
パンフレットやコメンテタリーもみて、制作側のエピソードも聞きましたが本当にあのオーズ本編に関わってた人達なのかな?となるばかりでした。
小林靖子さんは続編に関わらない事で有名なので脚本は別の方になるのは仕方ないにしても…ちょっとここまで1年かけて作り上げたメッセージを捉えられていないとは思いませんでしたね。

オーズは満たされたら終わりなので、という事がパンフレットに書いてありました。
しかし初期の空っぽでな映司であれば少女を助けて、アンクを復活させて、敵を倒して、で満足するでしょうが、本編最終回を経た映司がそんなもので満足するでしょうか?
火野映司は敵の裏をかくずる賢さもあるので、最終回を経た彼なら鴻上会長の言う「無限のその先」へ手を伸ばすんじゃないでしょうか。
わざわざ周りの大切な人達が悲しむような選択をしますかね…??
強い意思で足掻いて、抜け道を探して、いけそうな道があったらダメ元で賭ける、くらいの事はしそうですが。
泉信吾の時となにがどう違ったのか。彼だってアンクが離れたらすぐ死ぬレベルと本編で言われていたのに。

本当に色々な意味で酷い10周年作品でした。
役者の皆さんの演技は素晴らしかったです。
主演の方は台本渡されるまで内容を知らず大変驚いたそうなので気の毒に思います。
まさか10周年のお祝いムードで出された映画で沢山のファンが一気に怨霊化するなんて思いもしませんでした。
映画の出来もさることながら情報を追うごとに大人の責任の擦り付けあい、開き直りまで見せられてとても悲しいです。

ばすた
hi-airさんのコメント
2022年3月20日

そうした精神性というものが作品には必要なものなのですよ。
単に作品の中のストーリーをなぞるだけではなく、作品を通して語られるメッセージにも想いを馳せることもしてみてください。
そういう見方ができるようになれば、今作を批判している人達がなにを批判しているのか、少しは理解できるようになることでしょう。

hi-air
hi-airさんのコメント
2022年3月20日

イケメンイケメンさんが言っている「古代オーズという力の前ではそれも及ばなかった」というのは、単に作品世界の中での辻褄だけの話です。良く聞かれる「映司ならそうした」という話も同様です。
しかし、作品には作者が居て、作者は作品の中に様々な出来事を思い通りに配置することができます。それによって、何を表現し、何を伝えるか、それこそが作品にとって最も重要なことです。

hi-air
くまさんのコメント
2022年3月17日

> 泉信吾の時となにがどう違ったのか。彼だってアンクが離れたらすぐ死ぬレベルと本編で言われていたのに。

信吾は抗った、映司は受け入れた、という違いなのではないでしょうか。
信吾と映司は別の人間なので、状態が同じ場合に変わることがあるとしたらそれぞれの気持ちの部分になると思います。

くま
イケメンイケメンさんのコメント
2022年3月16日

>自己犠牲は駄目だよ。大きな欲望(夢)も皆で手を繋ぐことで叶えられるかもしれない。諦めず皆で手を繋いで行こう。
と徐々に欲望を取り戻させ、仲間を、自分を、大事にする話。
最終回でやっと映司も気付きましたね。

これは確かにそうだけど、別にこれをひっくり返すような内容ではなかったように思えます。古代オーズという力の前ではそれも及ばなかった、という前提が抜けてますよね?
今作の映司の自己犠牲はあくまで最終手段でした。

イケメンイケメン