「気持ちがいいラブコメ」マリー・ミー つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
気持ちがいいラブコメ
クリックして本文を読む
この作品の一番の魅力は歌唱パートのクオリティの高さかと思う。歌っているのは本職の歌手なので当たり前といえば当たり前だが、歌の上手い俳優が演じるのとはわけが違う迫力のようなものがあり、本物感が強い(もう一度書く。本物なので当たり前だが)。
もう一つの良かったところとしては、オーウェン・ウィルソン演じる主人公チャーリーに、恋を育む以外の障害がなかったことを挙げたい。
噛み砕いて言えば、チャーリーはジェニファー・ロペス演じるカットに相応しくないから諦めろとかいうのがほとんどなかった。つまり他者からの妨害がほとんどなかったのだ。
あるのは、元彼のほうがお似合いだという「雰囲気」だけ。
アーティストとしてプライベートもファッションのように着飾るほうが相応しい、もしくは成功するかもしれないという圧力のようなもの。それはファンやカットの中にいつの間にか存在していた何か。
スターだからと自分を特別視しないチャーリーと触れ合っていく中でカットの想いも変わっていく。
終盤になると、カットの身近な人たちを中心にチャーリーを応援する雰囲気も出来上がってくる。チャーリーはいい奴だったからね。
カットの心が決まるのを待つだけの大した障害もないラブロマンスは観ていて気持ちが良かった。
ベタなラストだったとしても、冒頭と立場が逆転した「Marry Me」と「again」のプラカードはエモーショナルだ。
ラブコメ映画は余り観ないので分母が少ないが、このカテゴリのオールタイムフェイバリットに選んだくらい気分のいい作品だった。
コメントする