「楽しめたが、「極道コメディー」じゃなく「いかつい主夫」コメディーであってほしかった」極主夫道 ザ・シネマ GreyWagtailさんの映画レビュー(感想・評価)
楽しめたが、「極道コメディー」じゃなく「いかつい主夫」コメディーであってほしかった
原作マンガは大好き、実写ドラマも(オリジナルキャラ含め)楽しめた。アニメは未見。
というわけで実写映画版、さっそくカチコミに行ってきましたぜ。
――楽しめたけど、「そっちに振ったか」という残念さが大きかった。
もともとは「元ヤクザが足を洗って主夫として家事・生活にいそしむが、それを極道的に解釈してしまう」ところが面白い作品。つまり、極道作品じゃなくて、日常生活コメディー(極道風味)という位置づけのはず。
それが、本作は「コミカルな極道映画」になってしまっていた。つまり、街にやってきたヤクザ組織との対決を暴力で解決する。激闘シーンはコミカルにされていたけれども、そうじゃない。
カチコミかと思ったらBBQ、抗争かと思ったら盆踊り。それをもっともっと最後まで貫いてほしかった。
今回であれば、イタメシパスタ対決!みたいなのがほしかった。
そのポイントさえ守っていてくれれば、女性陣が空を飛ぼうが、何だっていい。
いずれにしても、一番声を出して笑ってしまったのは、くっきー!さんのモノボケ(たぶんアドリブ)。みんな笑ってしまってるけど、それでも笑ってしまう。要するにそういうことなんですよ。明らかに恐ろしい武器について、ボケ倒す。逆に、すべてのものごとを極道言葉で解釈してしまう。それがこの「極主夫道」の極主夫道たるゆえんであって、おちゃらけ極道ムービーを求めているわけではない。
役者さんの演技はどれもよかった。玉木宏も川口春奈も志尊淳も原作のイメージをそのままあるいはそれ以上に再現していると思うし、滝藤賢一・松本まりかの雰囲気もバッチリ。稲森いずみも本当にはまっているし、原作にないひまわりちゃんも原作にはないがいい味を出している。
安達祐実の豹変ぶりもさすがだと思った(もっと見たい)。吉田鋼太郎はいつもの濃さで安心して見ていられる。
それだけに「極道もの」にシフトしたのが残念でならない。映画化するためのスケール感が逆に足を引っ張った印象である。
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