劇場公開日 2022年1月21日

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「兄貴がかっこいい」コーダ あいのうた ROKUxさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0兄貴がかっこいい

2022年5月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

物語そのものは、オーソドックスなストーリーだ。才能ある主人公が、困難を乗り越えて次のステップへ向けて旅立つ話。
この作品の特異な点は、主人公の家族が(主人公以外)全員ろう者であることだ。主人公の困難は、主にそのことが原因で起こる。
わりと深刻な問題ばかりなのだが、なぜだかとてもユーモラスだ。両親がこんなにファンキーだと深刻になる暇などないのかもしれない。

母親が「自分の耳が聞こえないせいで、(健聴者である娘を)うまく育てられないかもしれないと不安だった」と打ち明けたとき、娘が「ママが子育てに失敗したのは耳が聞こえないせいじゃないわ」と切り返したのは、もう見事というほかない。

あと、音楽。
映画と音楽の親和性は言うまでもない。なんらかの形で歌や音楽がスクリーンに常に流れている作品は、やはりエンターテインメントとしての完成度が高くなるように思う(芸術面の評価はまた別だけど)。
矛盾するようだけど、高校の発表会のシーンの表現もすごく良かった。このシーンの素晴らしさは、ぜひ映画館で体験すべき。

観終わった後の満足度も二重丸。
マイノリティを描いた映画は、ともすればモヤモヤを残しがちなのだけど、この作品は爽快感しかない。

そうそう、最後の場面で、車の窓からルビーが「ぐわし」みたいな手のサインを出すのだけど、あれってどんな意味が…?

ROKUx