「サイレント・マイノリティー」コーダ あいのうた 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
サイレント・マイノリティー
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リメイクの元になった「エール!」は未見。“コーダ”というのは、てっきり交響曲なんかの最後でダダダーンとやるあれのことかと思っていたのだが、こういう意味もあったんですね。
「glee」や「ピッチ・パーフェクト」みたいな青春合唱部ネタと聴覚障害の話は、そのままではすんなりと結びつかないので、いささか無理をしている感はある。もちろんそういう境遇の人がいてもおかしくはない。ただ、最大の葛藤であった手話通訳がいないと漁の操業ができないという問題が解決しないまま、主人公を音楽大学に送り出すラストシーンは手放しで喜べないものがある。
合唱部の発表会の途中で突如、無音になるシーンは秀逸。ここで初めて聴覚障害者側からとらえた世界が鮮やかに立ち上がる。映画のそれ以外の部分はすべて耳の聴こえる人の感じる世界として描かれていたことに気づく。聴覚障害者にとっては初めから終わりまでずっと無音なのだ。
日本の映画館では英語の会話に字幕が付くが、手話にも字幕が付く。英語圏ではおそらく手話部分だけに字幕が付いているのだろう。その場合、聴覚障害者の観客はどうやって物語を把握するのだろう(テーマがテーマだけに本国でも字幕上映したかもしれないが)。
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