「気持ちを伝えるものは、言葉だけではありません。身振り手振りに表情も。誠実さと熱意があれば相手の心に届きます。」コーダ あいのうた もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
気持ちを伝えるものは、言葉だけではありません。身振り手振りに表情も。誠実さと熱意があれば相手の心に届きます。
何を観ようかと、最寄り映画館の上映作品を物色中
何となく気になったのがこの作品。
・家族が全員、耳が聴こえない
・主人公(ヒロイン)一人だけ耳が聞こえる
・そのため家族にとってヒロインの存在は欠かせない
・実はヒロインには隠れた才能があって…
うん。 観ろと言われている気がする。
けど…
どこかで観た事のあるような内容かも と
作品紹介を読んだところ、リメーク作品とのこと。 納得。。
しかも元作品は劇場で鑑賞済みでした。 ※←私には珍しいパターン
「エール!」ってどんな内容だったか、が
あまり思い出せず、過去の鑑賞メモを検索。。
「まあまあ。
もーもーだ。 ヒロインちと太めだ。
やや下ネタ系の話が多いのは制作国の風土か。 」
う~ん
なんだかなぁ。
小学生なみの感想だ。。 (…という心の声は置いといて)
前の作品では「牛・牧場」 だった舞台が
この作品では「海・漁師」 に置き換わっています。
どんなお話になったのやら
これはやはり観てみなければと言うことで鑑賞です。
◇
耳の聴こえない家族の中で
周りの人たちとの「言葉による会話」の役目を
引き受けたきた高校生のヒロイン。
父と兄の漁船に乗り込んで漁に出て
港に戻れば色々な交渉役をこなし
そのあとは学校に行って授業を受ける
大音量で音楽をかけながら車を走らせ
学校までやってくる家族たち。
その姿が目立つため、
学校でも浮いてしまう。
そんな毎日。
※音は聴こえなくとも、音量が大きければ
体に響いてくるから大音量 という理由に納得。
そんな中
クラスで気になる男子と同じ選択授業を
選ぶのだが、それが 「合唱部」。
実はこのヒロイン、海に突き出た崖の上で
一人大きな声で歌を歌うのが大好き。
その合唱部で出会った顧問の先生。
この先生がヒロインの歌唱力に気付き
そして、音楽大学への進学を勧めてくる。
歌うのは大好き。進学もしてみたい。
けれど
自分が家族から離れてしまったら
家族の暮らしはどうなってしまうのか…
とまあ
このようにお話が展開します。
正攻法といえば全く正攻法のお話なのですが、
登場する人物(家族や先生)が、厭味の感じられない
とてもいい人たちで
良い作品になっていたと思います。
観て良かった。満足です。
◇ あれこれ
■ヒロイン(エミリア・ジョーンズ)
「歌が上手」という設定なのですが
本当にその通りでした。
豊かな声量・安定した音域 いや~素晴らしい。
まだ20歳と、若い女優さんなのですね。
これからの出演作品も
チェックしていこうかな と思っております。
■合唱部の先生
ものすごい熱量の持ち主。 しみじみ
練習に遅刻を繰り返すヒロインを突き放すけれど
「これまで家族以外と行動をしたことがない…」
そう口にするヒロインを受け入れ直したり
音大の入学試験で
楽譜も無く、アカペラで歌おうとするヒロインの元に
息を切らせて駆けつけ、伴奏を名乗り出たり
緊張のあまり声が出ていないと見るや
わざと伴奏を間違えて、頭からやり直しにしたり
本当にいい先生です。
私にも是非指導を。 (巻き舌音は出来ませんが…汗)
■気になった点一つ…
リメークによって 「牧場 ⇒ 漁師」 へと
舞台が変わったわけなのですが…
「乗組員が全員耳が聴こえない」
という状態でも
船舶の運転免許や、漁業権の認可 って
取れるものなのでしょうか? う~ん
※調べてみたら、日本の場合
船舶免許の条件に
「日常会話が可能であること」
というのがあるようです。
それともそれは
フランスやアメリカでは問題ないのかも…
◇最後に
「CODA」 (Children of Deaf Adult)
初めて耳にした言葉です。
親が手話を用いるため、CODAの子供は
「言葉と手話」 のバイリンガルになることも多いとか。
この作品でも
音楽大学の入学試験のとき
「言葉で歌う」だけでは、緊張で上手く歌えなかったのが
「手話をともなって歌う」 ことで
本来の声で歌うことができたのですが
とても良い場面で、印象に残っています。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
共感ありがとうございます。
今作は見逃していてギャガの特集上映でやっと観られました。泣けはしなかったのですが、ネガティブな部分もぶつけ合う、やはり家族なんだなあと感じる作品でした。個人的には「世界にひとつのプレイブック」の方が好きなんですが。
オカマっぽい先生は、ありがちって言ってしまうとありがちですが、やっぱり情熱的で自分も好きです。
手話って国ごとに違うようで、文法が関係しているのでしょうけれど、せめて動詞と単語の国際的なスタンダードを作ったら手話話者はそれだけで共通語という強みを持てるのでは?と思ってるんですけど。
お邪魔しま~す。2度観ました。
2度目に観たときに
「これまで家族以外と行動をしたことがないの…」遅刻に激怒していたV先生が一瞬で悲しそうな顔になって黙ったシーン。沁みました。無駄な台詞なしにみせる素晴らしい映画だと思いました。
船舶免許の日常会話に手話は含まれないでしょうね。きっと。