「古の悪魔と現代の悪魔」アントラーズ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5古の悪魔と現代の悪魔

2022年4月15日
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劇場公開は見送られた本作、ディズニー+でこの度鑑賞。序盤からダークな雰囲気で仄暗いシーンから始まり、個人的にだが掴みはOKだった。
場面が変わり小学校と移るのだが、明らかにネグレクト等に遭っている風貌の少年がいる。本作はその少年が自宅で監禁している「何か」との対峙を描いた作品となる。得体の知れないそれは、「ウェンディゴ」と呼ばれる古くから伝わる森の怪物だった。先住民らの教えで、現代までそれが生き続けているとの事だ。R-15+指定であり、襲撃シーンや、「それ」が生まれるシーン等の描写はキツめである。ディズニー配給だからと言って侮るなかれ。

仮にその生物が生きながらえていたとしたら、そういう残虐な事件が前から発生して騒ぎになっているのではと思うが、そこは気にしてはならないのだろう。 扱うものはギレルモ・デル・トロが好きそうな古の存在。だが幼児虐待とそれを見放す学校や、過去父親から暴力を受けていた主人公。そのせいでアルコール依存症の治療中と思しき描写も存在する。それが古の悪魔と現代社会の悪魔である。その世代を超えた人々を恐怖に陥れる存在の物が、姿形は違えど存在するという大きなメッセージを読み取る事が出来る。だがそれ程説教臭い作品ではない為、ホラー好きならば楽しめるだろう。

Mina