「牛や豚や鶏に囲まれて生まれた英ロックの名盤たち」ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
牛や豚や鶏に囲まれて生まれた英ロックの名盤たち
英国のロックシーンを紐解く上で欠かせないのがロックフィールド・スタジオ。このドキュメンタリーはロンドンから200キロ以上離れたウェールズの片田舎にあるこの農場兼滞在型レコーディング・スタジオにどんな魅力が詰まっているのかを、創設者や名だたるミュージシャンたちへのインタビューを通じて解き明かしていく。スタジオの歴史を見つめることは、当然ブリティッシュ・ロックの潮流を俯瞰することを意味する。そして地理的な利点にうなづく部分も多い。例えばブラックサバスが思うままに音を奏でるにはこの地が欠かせなかったろうし、またストレスフルで手狭なロンドン生活から離れ、大自然に囲まれたスタジオで共同作業することはあらゆるミュージシャンにとって意義深いものだったはず。出演者の一人の「僕らにとってホグワーツのようなもの」という言葉も印象的。この先、ゆかりある名盤を聴くたび、本作で目にした風景が脳裏に浮かんできそうだ。
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