デューン 砂の惑星 PART2 : 特集
【緊急レビュー】1秒たりとも、面白くない場面がない。
あのクリストファー・ノーランも称賛し、編集部が言葉
を失うほどに“没入”… こんな体験、初めてだ――
2時間46分、全瞬間が素晴らしい“傑作”を徹底レビュー
ついにその時がくる。
3月15日から「デューン 砂の惑星 PART2」が日本公開される。我々は初めて本作を鑑賞した時から、日本の観客が目撃するその瞬間をワクワクしながら待ち望んでいた。
没入感。すさまじい映像世界。言葉にならない体験。古今東西、さまざまな作品を観てきたが、こんな映画は初めてだと思った。アメリカでは前売りチケットが飛ぶように売れ、公開初週末には6500~7500万ドルを叩き出す予想となっている。これはクリストファー・ノーラン監督作「オッペンハイマー」での予想値を超える驚異的な数字だ。
多くの言葉はいらないだろう。実際に本編を“食らった”人々による、わけのわからないくらいアツい鑑賞体験をここに記す。いくつかの記述は、やや抽象的にすぎるかもしれない。しかし。この記事を読んだあなたは、数時間後にはきっと“砂の惑星にいる”はずだ。
【その没入は、目を閉じても消えない】
完全な没入体験にC・ノーランも衝撃&圧倒&驚愕
「メッセージ」「ブレードランナー2049」のドゥニ・ビルヌーブ監督がフランク・ハーバートのSF小説を映画化した第一作「DUNE デューン 砂の惑星」(2021)。同作は第94回アカデミー賞で6部門に輝いており(視覚効果賞、美術賞、撮影賞、編集賞、音響賞、作曲賞)、その規格外の没入体験や狂気的なまでの映像世界は、あらゆる人々を虜にした。
そんな“途方もない傑作”の続編が、本作「デューン 砂の惑星 PART2」だ。世界中の観客に絶大な影響力を持つクリストファー・ノーラン監督(「TENET テネット」「オッペンハイマー」など)をはじめ、ひと足先に鑑賞した超一流クリエイターたちは、すさまじかった前作を超える“完全なる没入体験”に驚がくのコメントを寄せている。まさに、本物は本物を知るのだ。
●「TENET」クリストファー・ノーラン監督も最大級の激賞
※2024年2月2日、アメリカ・AMCシティウォーク。IMAX 70mmフィルム版「TENET テネット」の上映後、クリストファー・ノーランとドゥニ・ビルヌーブが行った対談を引用。
あのクリストファー・ノーランが、自身にとっても大切な“歴史的傑作”に匹敵する、と激賞したのだ。これに対し、ビルヌーブは「最高の褒め言葉」と感謝の意を示していた。
【では、日本の観客はどう観る?】編集部レビュー×3
「初めての映画体験」「語彙失う凄まじさ」「大傑作」
ここからは鑑賞条件や性別・年代の異なる映画.com編集部の3人によるレビューを掲載していく。ご自身に近い人の感想を、特に参考にしてもらえればと思う。
レビュー①:
前作を“その年のベスト映画”と語る編集長が鑑賞
「2時間46分、本当に凄かった。想像の遥か上。今年はこれを上回る映画に出合うことはない」
※筆者紹介:
2時間46分があっという間に過ぎました。まさに至福の時間。脳は覚醒したままで、気分の高揚も続いていて、少し身体がふわふわした状態で試写室を出ました。
すると、宣伝部の方が「どうでしたか?」と声をかけてきました。とっさに出た言葉は「凄かったです」のひと言だけ。他に、気の効いた言葉が思いつきません。映画は本当に凄かった。前作よりも遙かに凄い。刺激も、興奮も前作以上で間違いありません。
●何が素晴らしかった? 答えは“すべて” 過去に見たことない、ビッグバンのように膨張する映画試写室から帰る道々、何が凄かったのか頭の中を整理してみました。結論としては「すべてが凄い」。2時間46分の間、ずーっと興奮が続くのは、これはもう最初から分かっていました。しかし実際に見てみると、想像の遙か上なんです。この映画の凄さは、簡単には言葉にできません。いや、言葉にするのがもったいないというレベル。「とにかく見て。見れば分かるから」それ以上は言いたくない。
ひとりの男が英雄になり、やがて神格をまとっていくプロセス。叙事詩が神話になっていくプロセス。そういうものを目撃した感覚です。物語世界がどんどん拡張していき、主人公のステージが上がっていき、映画としてのスケールが巨大になっていく、ビッグバンのように膨張する映画。そんなの、過去に見たことありません。
ちなみに、前作「DUNE デューン 砂の惑星」は、2022年・第94回アカデミー賞で作品賞以下10部門にノミネートされ、同年最多の6部門で受賞を果たしました。今回も「オスカー何個持って行くんだよ」って思います。来年(2025年)のアカデミー賞を席巻するのは間違いありません。それどころか、「オッペンハイマー」も「哀れなる者たち」もラッキーでしたね、とすら思います。「デューン 砂の惑星 PART2」が4カ月ずれたおかげで、この2作品が本命視されているのが今年(2024年)のオスカーです。
●信じられないレベルの傑作
もう、今年はこれを上回る映画に出合うことはないでしょう。次にこのレベルに出合えるとしたら、それは次の「DUNE」ではないかと。本編を見れば分かりますが、「PART2」の続きが存在することは確実です。つまり、本作では喪失感を覚えることなく、むしろ楽しみが増えた感覚でエンドロールを見ることができます。
とにかく、信じられないレベルの傑作です。くれぐれもお見逃しのないように。上映時間がやや長いので、体調を整えて、お手洗いを済ませて、ご鑑賞のほど。もちろん、IMAXでの鑑賞がオススメです。3月8、9、10日の先行上映を狙ってください。
レビュー②:
前作をIMAXで観た人が“最終決戦”を鑑賞
「豪華キャストが入り乱れるバトル。余韻を残す人間ドラマ。シャラメ覚醒の瞬間を観たら気絶するかも」
※筆者紹介:
砂漠の街を舞台に、低予算でありながらも重厚な人間ドラマを抜群の映像センスで描いた「灼熱の魂」からドゥニ・ビルヌーブ監督を追いかけている筆者は、あれよあれよという間にハリウッドの名匠となったビルヌーブ監督版「DUNE」公開を心待ちにし、前作を都内最大規模のIMAX劇場で鑑賞、その世界観にシビれた「DUNE」ファンの一人だ。
●最終決戦の迫力に息をのむ…このシリーズは必ず映画館で見るべき作品
今回、一足先に試写会で「PART2」を見た。率直に、映画館で鑑賞できてよかった、と心から思った。オレンジ、薄茶、グレーを基調とする統一されたカラートーン、壮大なロケと高技術VFXによる大迫力の映像、そしてハンス・ジマーによる、地響きのような荘厳かつ緊張感溢れる音楽がこのSF超大作を盛り上げ、ああ、また私はビルヌーブ版「DUNE」の世界に帰ってきた……と感慨もひとしおだ。
前作を見ていなくても、ポールがなぜ今の境遇にあるのかわかるようになっているので、今作から見てもなんら問題はない。が、このシリーズは必ず映画館で見るべき作品である。
「PART2」でも息をのむのが、バトルアクションだ。特に物語終盤で描かれる“最終決戦”は、空爆、地上戦、大スクリーンを埋め尽くす群衆と数々のシーンが圧倒的な映像で展開され、“全員、超大作の主役級”といえる豪華キャストによる手に汗握る肉弾戦からは、1秒たりとも目が離せない。自分の血の温度も上がっていくのを感じ、「血が滾るとはこういうこと」としみじみ思った。
●人間ドラマの余韻に浸る…そして、ティモシー・シャラメがカリスマとなる瞬間を目撃
また、アレハンドロ・ホドロフスキー、デビッド・リンチら鬼才たちが映像化を切望した原作があり、中東文化からの影響を色濃く感じる本作は、スパイスを石油とその利権に置き換え、国家間の衝突、そして環境問題など、物語を現実世界に重ね合わせて見ることも面白さのひとつだが、ビルヌーブ版「DUNE」では、ティモシー・シャラメが演じる主人公ポールの成長も楽しみである。
シャラメは、繊細な美青年のイメージから一転、選ばれしアトレイデス家の後継者という業を背負い、孤独な戦いに身を投じるポールをしなやかな強度をもって熱演。今作でカリスマ性を持ったアクション俳優として新境地を開く瞬間を目撃できるだろう。ファンが観れば気絶してしまうかもしれない、というくらい圧巻のシーンが、多数盛り込まれていたことも印象深い。
今作で初めて登場する、ポールと敵対するハルコンネン家の残忍なフェイド=ラウサを演じるオースティン・バトラーにも言及したい。そのキレッキレの悪役ぶりは、それはもうほれぼれするほどキレッキレで、ポールの好敵手として一際注目に値する人物だった。
さらには人間ドラマも胸に迫る。この砂の惑星での戦いの行方が深い余韻を残すのは、愛、家族、そして後世に生きる者たちへ残す未来がどうなっていくのかが語られるから。それは幸せな形だけでなく、様々な逆境が訪れた時、何を選択し、どう生きていくのか――ポールとともに、そんな問いを投げかけられる人間ドラマにも没入してほしい。
レビュー③:
前作未見で鑑賞 果たして楽しめるのか?
「人生最濃の鑑賞体験。5時間分の満足度。でも今すぐに“次”が観たい。ずっとずっと観ていたい」
※筆者紹介:
正直に白状しよう。筆者は前作「DUNE デューン 砂の惑星」を未鑑賞だ。しかしこの続編は縁あって鑑賞する機会を得た。詳細なシーンやどこがどう素晴らしかったなどは、編集長たちが書いてくれているので、僕はとことん“圧倒された感情”を中心に書き連ねていく。
●映像はもちろん、むしろ音の映画 脳内麻薬がガンガン溢れ出てくる“意味不明の衝撃体験”
もう本当に、とにかくすんごかった。むっちゃくちゃに面白かった。「本当かよ?」と疑われるかもしれないが、個人的には前作未見でも問題ないとさえ思った。物語が“些細なこと”に感じられるくらい、その映像・音響体験が驚異的だったからだ。
冒頭から2秒で砂の惑星に没入した。舞う砂粒、砂丘を踏み締めるキュッキュという足音、衣擦れ、大地の唸り、大気の振動、遠くでサンドワームが暴れる気配、呼吸音、日食。うまく説明できないのだが、これらを観ているだけで脳内麻薬がガンガン溢れ出てくるように感じ、手元のメモには「すさまじく面白い」とだけ、語彙を失ったように書かれていた。
映像ももちろん魅力的だが、本作はむしろ“音の映画”なのではないかと思う。耳から映画が流れ込み、心臓を鷲掴みにされ、五感が映画に包まれた。魂みたいなものがそのまま肉体から引き剥がされ、スクリーンのなかに吸い込まれていく感覚を覚える……意味不明の衝撃体験が音の力でもたらされた。
他の人がどう思うかは知らない。でも少なくとも僕は、5時間分くらいの満足度がある、人生で最濃クラスの映画体験だったと感じた。
●帰り道。脳裏に蘇る映像と音。ああ、すごかったなあ……。
エンドロールを眺めながら「今からぶっ通しでもう一回観てもいい」とさえ思った。もちろん、前作を観ていたらもっともっともっと楽しめただろう、とも思った。ということは前作を観ている人が観たら、「デューン 砂の惑星 PART2」はどれだけ面白いのだろうか――? そんな人たちを羨ましく感じながら、帰宅したら前作を観ることを決意しつつ、劇場を後にした。
帰り道。脳裏に蘇る映像と音。ああ、すごかったなあ……。一刻も早く、PART3を観たい。渇望感がもうハンパじゃないので、早くPART3を公開してください、ワーナー・ブラザースさん。
※ちなみに、漫画やアニメが好きな方々にあえて伝えたいのは、「『進撃の巨人』の終盤に衝撃を受けた人にオススメ」ということ。主人公ポールの物語を観れば「なるほど、そういうことね!」となるはずです。お楽しみに!
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